総合文学ウェブ情報誌 文学金魚

私達の故郷は日本語です。金魚屋プレス日本版は、日本語で書かれるあらゆる文学の方向を見極め、私達の精神の行く末を照らす光りを見出そうとするものです。 金魚屋プレス日本版はその光りのすべてを広義の文学と呼びます。

金魚屋プレス日本版代表 齋藤都

Author Archive
No.106 砂川文次「熊狩り」(文學界 2016年11月号)

No.106 砂川文次「熊狩り」(文學界 2016年11月号)

     西村賢太氏が「或る不遜」というエッセイを書いている。すでに刊行が決まっている短篇集の刊行を先延ばしにしてもらったらしい。理由は「ここ何年かで私は何やら随分と厚顔になった」ことにある。西村氏が […]
No.105 文學界 2016年10月号

No.105 文學界 2016年10月号

     柄谷行人以降だと思うが、批評の〝創作化〟が進んでいる。夏目漱石を論じていてマルクスやデリダの名前や思想が頻出したりするのだ。関連があればいいのだが、たいていない。批評家が小説をダシにしながら […]
No.104 文學界 2016年09月号

No.104 文學界 2016年09月号

     小説を読んでいて惜しいな、と思うことがしばしばある。もちろん大衆文学と純文学ではその質が違っている。大衆文学では読者を楽しませることが暗黙の了解だ。謎解きであれハピーエンドであれ、ある種のカ […]
No.103 文學界 2016年08月号

No.103 文學界 2016年08月号

     八月号では「異色短篇特集「怪」」が組まれている。まったく申し訳ないが、それを見てちょっと笑ってしまった。「オール讀物」の著者を使うならわかるが、文學界の著者を使ってこの特集を組むのは誰が考え […]
No.102 文學界 2016年07月号

No.102 文學界 2016年07月号

     保坂和志氏は面白い作家だと思う。現在の文学界で、保坂氏のような小説を〝現役〟で書いている作家は少ない。飽くことなく書き続けられる〝元気〟が保坂氏にはあるわけだ。この元気がどこから来るのかと考 […]
No.101 文學界 2016年06月号

No.101 文學界 2016年06月号

     六月号には中村文則氏の「私の消滅」二百三十枚が一挙掲載されている。新潮新人賞でデビューし、芥川賞等々を受賞した若手のホープである。一九七七年生まれだからまだ四十歳だ。ご自身で自分は純文学作家 […]
No.100 文學界 2016年05月号

No.100 文學界 2016年05月号

     五月号は第121回文學界新人賞発表号で、同人誌優秀作品掲載号と並んで楽しみな号だ。ショービジネスの世界ではオーディションが当たり前だが、それはまだ世に知られていない金の卵のような才能が眠って […]
No.098 文學界 2016年04月号

No.098 文學界 2016年04月号

     時代の変化はまず〝現象〟としてあらわれる。底の方から蠢く変化を感受してはいるが、その正体がはっきりわからぬまま表現されるのである。そのような表現が筍のようにポツポツと芽生え育ってゆくと、自ず […]
No.097 文學界 2016年03月号

No.097 文學界 2016年03月号

     印象が薄いのではっきりした記憶がないが、ちょっと前から文學界の巻頭ページがリニューアルされている。かなり長い間、文學界巻頭には一ページの詩が掲載されていた(もちろんモノクロ)。文學界の読者は […]
No.096 文學界 2016年02月号

No.096 文學界 2016年02月号

     二月号はちょっとした文學界新人賞作家特集になっていた。第一一九回受賞の板垣真任氏が『すら』を、第一〇七回受賞の上村渉氏が『不発弾』、第一二〇回受賞の杉本裕孝氏が『花の守』を掲載しておられる。 […]
No.094 文學界 2016年01月号

No.094 文學界 2016年01月号

     文學界新年号の巻頭は朝井リョウの『ままならないから私とあなた』三百枚の一挙掲載である。正直なところ〝マジっすか〟と思ってしまった。朝井氏は『桐島、部活やめるってよ』でデビューし、『もういちど […]
No.093 文學界 2015年12月号

No.093 文學界 2015年12月号

     十二月号は比較的若い作家の作品が掲載された充実した号だった。中でも滝口悠生氏の『死んでいない者』と水原涼氏の『日暮れの声』は秀作だと思う。また滝口氏の『死んでいない者』は第一五四回芥川賞を受 […]
No.090 文學界 2015年11月号

No.090 文學界 2015年11月号

     基本的に現実世界を描く小説で、男と女と金と家族が大きな主題になるのは当然である。乱暴な言い方をすれば、この三つの主題の描き方(処理方法)に作家の思想が表れる。短歌や俳句には型があり、それを無 […]
No.089 文學界 2015年10月号

No.089 文學界 2015年10月号

     「文學界」十月号では「特集 酒とつまみと小説」が組まれていて、恐縮だがタイトルを見て思わず笑ってしまった。「オール讀物」ならまだしも、「文學界」を読みながら酒を飲む人はいるのだろうか。もちろ […]
No.087 文學界 2015年09月号

No.087 文學界 2015年09月号

     偶然なのだろうが、「文學界」九月号には木村紅美(くみ)と佐藤モニカ氏の、二人の女流作家の作品が並んで掲載されている。ともに一九七〇年代半ば生まれで年齢も近い。木村氏は「風化する女」で文學界新 […]
No.086 文學界 2015年08月号

No.086 文學界 2015年08月号

     優れた作品に出会うと純文学はやっぱり凄いなと思う。しかしその確率はかなり低い。「文學界」を読んでいても、秀作だと思う作品に出会うのは年に数回だ。たとえ駄作でも、大衆小説にはなんらかの形で読者 […]
No.085 文學界 2015年07月号

No.085 文學界 2015年07月号

     七月号巻頭は西村賢太の「芝公園六角堂跡」である。西村らしい私小説である。というより彼は私小説以外の小説を書く気がない。西村にとって文学とは私小説のことである。作品は「二〇一五年二月の、肌寒き […]
No.084 文學界 2015年06月号

No.084 文學界 2015年06月号

     六月号は「第120回 文學界新人賞発表」号である。大衆エンターテイメント小説誌に比べ、純文学誌の新人賞選考はとても難しいだろうと思う。エンタメ小説作家には、まずプロット(面白い物語)を組み立 […]
No.082 文學界 2015年05月号

No.082 文學界 2015年05月号

     第一五三回芥川賞を同時受賞した又吉直樹氏の『火花』と羽田圭介氏の『スクラップ・アンド・ビルド』を続けて読んだのだが、つくづく純文学は難しいと思う。原則を言えば純文学と大衆文学の違いなどない。 […]
No.081 文學界 2015年04月号

No.081 文學界 2015年04月号

     男性と女性の違いについては論じ始めるときりがないところがある。一番大きな違いは女性は子供を産むことができる点だろう。それに沿って、長い時間をかけて男女の社会的役割分担が作り上げられてきた。い […]
No.080 文學界 2015年03月号

No.080 文學界 2015年03月号

     「文學界」三月号には羽田圭介氏の『スクラップ・アンド・ビルド』が掲載されている。又吉直樹氏の『火花』と一緒に第一五三回芥川賞を受賞した作品である。たまたま同時受賞したので二作続けて読むことに […]
No.076 文學界 2015年02月号(後編)

No.076 文學界 2015年02月号(後編)

     繰り言になってしまうが、『火花』について論じるのは本当に気が進まない。どんなスタンスで批評していいのかわからないのだ。他人事ながら芥川賞を受賞し二百万部も本が売れたのは本当に喜ぶべきことで、 […]
No.076 文學界 2015年02月号(前編)

No.076 文學界 2015年02月号(前編)

     とうとうあまり書きたくない「文學界」二月号の回になってしまった。二月号には又吉直樹氏の中編『火花』が掲載され、「文學界」は史上最多の四万部を増刷した。純文学雑誌では異例のことである。その後単 […]
No.075 文學界 2015年01月号

No.075 文學界 2015年01月号

     2015年の新年号から文學界は表紙や目次などのデザインを一新したようだ。少し軽く明るい印象の雑誌になったように思う。ただ目次で小説作品を「創作」と表記しているのは変わらない。この「創作」とい […]
No.074 文學界 2014年12月号

No.074 文學界 2014年12月号

     雑誌や業界ごとのカルチャーは確かにあると思う。自然主義的私小説が、ほぼ日本独自のものといっていい芸術形態であることを僕も疑わない。日本語で書く作家である限り、その影響は陰に日向について回るだ […]
No.071 文學界 2014年11月号

No.071 文學界 2014年11月号

     純文学小説誌や大衆小説誌を問わず、掲載されている作品の大半は、なぜこの程度の質で、と首をかしげるものがかなりある。純文学は無理矢理深刻そうなテーマをひねり出したような作品が多い。大衆小説の場 […]
No.070 文學界 2014年10月号

No.070 文學界 2014年10月号

     今も昔も小説文芸誌を開いたときの、息が詰まるような閉塞感は同じだろう。たまたま雑誌一冊を手に取っても、秀作・傑作と呼べるような作品が掲載されている可能性は低い。どうしてこんな作品がと思うこと […]
No.068 文學界 2014年09月号

No.068 文學界 2014年09月号

     他の文芸誌でも行われていることだが、「文學界」でも外国文学を定期的に紹介している。日本に限らず世界中のあらゆる文化が、外国から到来した未知の文化によって新たな可能性を見出してきた。ただそれに […]
No.067 文學界 2014年08月号

No.067 文學界 2014年08月号

     今月号の巻頭は西村賢太の私小説「菰を被りて夏を待つ」である。西村は二十世紀的な文脈での最後の私小説作家かもしれない。あるいは二十一世紀的な意味での最初の私小説作家になる可能性もある。この作家 […]
No.065 文學界 2014年07月号

No.065 文學界 2014年07月号

     雑誌が〝雑〟であるのは言うまでもない。文芸誌の場合小説中心だが、様々な作家が様々なジャンルの作品を寄稿している。質もまちまちだ。古本屋で二十年、三十年前の文芸誌を買って読んでみるといい。知っ […]
No.042 文學界 2013年01月号

No.042 文學界 2013年01月号

     今月号の小説作品から鹿島田真希氏の『暮れていく愛』を取り上げたい。いわゆる〝女性的エクリチュール〟の作品だからである。ただ女性的エクリチュール作品を題材に、小説における男流・女流の対立を論じ […]
No.040 文學界 2012年12月号

No.040 文學界 2012年12月号

     詩や小説は、論理では説明不可能な何事かを表現する芸術だという共通理解がある。詩は一種の直観表現である。『雨ニモ負ケズ/風ニモ負ケズ』という宮沢賢治の表現は単純だが、それは読者に一瞬のうちに現 […]
No.039 文學界 2012年11月号

No.039 文學界 2012年11月号

     今月号の掲載作品から佐々木中氏の『夜を吸って夜より昏い』を取り上げたい。作者の佐々木氏は哲学者で思想家である。『夜を吸って・・・』が秀作・傑作だと言う勇気は僕にはないが、現在の小説文学の、最 […]
No.038 文學界 2012年10月号

No.038 文學界 2012年10月号

     いわゆる〝前衛〟芸術には、ほとんど徒手空拳で新たな表現領域を追い求める指向と、原理的基盤を確認しながら表現を更に深化・更新させようという流れがある。アヴァンギャルドとラディカリズムと言っても […]
No.035 文學界 2012年09月号

No.035 文學界 2012年09月号

     アイデンティティというものはなかなか厄介だと思う。作品に作家固有のアイデンティティがあるのはもちろんだが、文学ジャンルにも、文芸誌にもアイデンティティはある。もちろんアイデンティティが最初か […]
No.034 文學界 2012年08月号

No.034 文學界 2012年08月号

     8月号には奥泉光氏と堀江敏幸氏の『芥川賞新選考委員特別対談 物語ではなく、小説を』が掲載されている。編集部が対談の冒頭に置いた文章には、『いずれも大学の教壇にたち、世界文学に造形の深い芥川賞 […]
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