大篠夏彦さんの文芸誌時評『文芸5誌』『新潮 2021年06月号』『文藝 2021年夏号』『すばる 2021年01~03月号』『群像 2021年01月号』をアップしましたぁ。今月から「すばる」と「群像」さんの時評開始です。これで文芸5誌全部の時評がスタートしました。今後はできるだけ直近の号に近づいていってもらうようにします。
文芸批評は今やもう小説をダシにした創作批評が主流になっています。大篠さんが書いておられますが、自己主張の時代に批評家たちが小説のいわば下僕であることを嫌って、小説批評はしているのですが、それ以上に自分の文学観、社会思想観などを積極的に書き始めたわけですね。これはこれで一つの大きな流れであり、文芸批評からそれが消え去ることはないと思います。ただ行き過ぎれば修正は必要になるわけで、作品中心の批評もまた必要ということになると思います。
小説に限りませんが文学はかなり困難な現状に直面しています。文学が斜陽産業であるのは事実です。エンタメコンテンツの大局から眺めれば、文学の世界全体が昔のように大きなエンタメ市場に戻ってくることは当面ないと思います。そのせいもあって、作家の質が落ちているように見えるのも事実。ただそれは市場だけでなく、捉えにくい現代社会の影響でもあります。しかしたとえマイナーな業界になろうとも、あらゆる努力を傾けて文学の質を上げてゆくのが作家の責務です。文学が好きで文学しかやらないなら、そのくらい努力しろよ、ということです。
■ 大篠夏彦『文芸誌時評 文芸5誌』千葉雅也「オーバーヒート」(新潮 2021年06月号)■
■ 大篠夏彦『文芸誌時評 文芸5誌』藤代泉「ミズナラの森の学校」(文藝 2021年夏号)■
■ 大篠夏彦『文芸誌時評 文芸5誌』井上荒野「乙事百合子の出身地」(すばる 2021年01月号)■
■ 大篠夏彦『文芸誌時評 文芸5誌』小川洋子「ユニコーンを握らせる」(すばる 2021年02月号)■
■ 大篠夏彦『文芸誌時評 文芸5誌』高瀬隼子「水たまりで息をする」(すばる 2021年03月号)■
■ 大篠夏彦『文芸誌時評 文芸5誌』本谷有希子「あなたにオススメの」連作(群像 2021年01月号)■
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