ケニー敏江 連載小説『四角い海』(五 最終回)をアップしましたぁ。いよいよ最終回です。文学金魚に限りませんが、文学新人賞では作家の年齢がやはり重要になります。新人という単語がついているわけですから、賞を出す側はフレッシュな若手作家を期待します。しかし長寿化とともに人間の成熟が遅れている気配濃厚です。もちろんビックリするような才能の若手はこれからも現れるでしょうが、現実的に継続して書ける作家は若くても30代後半、40代、50代でもおかしくない時代になっていると思います。
さて『四角い海』ですが小説内での敵役である航太が亡くなってしまいます。大嫌いな相手ですから小説内主人公はあくまで冷たい。冷たくならざるを得ませんね。そういうふうにずっと伏線が張られているわけですから。一方で現実世界に属している私はネット仲間や職場の仲間に囲まれている。うわべの付き合いかもしれませんが人間関係は良好です。この対比が『四角い海』のテーマでしょうね。
『四角い海』とは限られた海、窓から見える海のことです。そして小説内主人公は窓から四角い海を見るだけで、海が近いのに行ったことがない。是非行って溺れなければなりませんね。『四角い海』は欠落の喩でもあると思います。優れた小説的無意識ですね。
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