佐藤知恵子さんの文芸誌時評『大衆文芸誌』『オール讀物 2019年09-10月合併号~2020年30-04月合併号』をアップしましたぁ。佐藤さんのオール讀物時評6連投です。純文学系小説誌では前号を対象にした雑誌時評が掲載されたりしますが、大衆小説誌の時評は佐藤さんの連載だけでしょうね。大衆小説誌は純文学誌よりも格が低く、読み捨て雑誌だという不文律があります。でもそれは幻想だな。
純文学小説誌に掲載されている作品のレベルが高いとは決して言えません。石川は数誌を毎号斜め読みしていますが、書きたいテーマがないのに純文学の殻だけを着た小説が大半です。そういった小説はことごとく面白くない。座禅の修行は辛くて退屈ですが、なにか自分のためになるんだろうという前提了解があります。しっかし書くことがないのに純文学作家と呼ばれたいがために純文学の着ぐるみを着ている作品をなーんで読まなきゃならないんだ、と思うことしばしばです。もちろんときおり「これはいい!」と思う作品が掲載されているから読み続けているわけですが、それは大衆小説誌も変わらない。大衆小説誌にも傑作は掲載されます。純文学誌よりもその確率は高く作品の質が純文学誌を上回ることも多いです。
今回の佐藤さんの時評では井上荒野さんの『園田さんのメモ』が傑作です。主人公の園田という女性について佐藤さんは『園田の世界の拒絶は、それが強烈できっぱりしていればしているほど、彼女が拒絶しがたい何かを求めている女性だということを示唆しています。絶望しながら強い希求がある。しかしその希求は現世では恐らくかなえられない』と批評しておられます。これは純文学と呼ばれる小説以外では表れない観念軸です。文学の世界を含め社会的制度は一朝一夕では変わりませんが、形骸化して力を失った文学制度は本質的に〝ガラガラポンしましょ〟が文学金魚の姿勢です。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評『大衆文芸誌』『オール讀物 2019年09-10月合併号』 ■
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評『大衆文芸誌』『オール讀物 2019年11月号』 ■
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評『大衆文芸誌』『オール讀物 2019年12月号』 ■
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評『大衆文芸誌』『オール讀物 2020年01月号』 ■
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評『大衆文芸誌』『オール讀物 2020年02月号』 ■
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評『大衆文芸誌』『オール讀物 2020年03-04月合併号』 ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 第9回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第9回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 金魚屋の本 ■