対話『エンニスの誘惑―激変する小説形式』小原眞紀子×エンニス(対話型AI Grok[グロック])(第11回)をアップしましたぁ。ネット時代・高度情報化社会において小説はどう変わってゆくのかを、ネットの申し子であるAIのエンニスさんと議論しておられます。今回の対話は本当に面白い。
小原:「よくできているもの」でなく、人々の無意識にまで降りていくとなると、少なくとも今のところは文学の独壇場なんじゃないか。もちろん小説にもゲームに劣らず、単に作ったような物語はいくらでもあって、でもわたしたちが目指しているものはそういうのではない。人々の深い無意識にたどり着くようなものを傑作だと思うわけでしょ。そこんところをメタバース的なものがね、どう補完できるのかってことなんだよね。
小原さんがおっしゃっていることはよくわかります。小説がゲームなどのエンタメに引っ張られている面があるのは確か。まったく荒唐無稽なタイムスリップモノなど、面白けりゃいいだろという大衆小説が量産されています。その一方で純文学は低調。既存の純文学の〝型〟をなぞった作品が多い。石川は禅の修行のようにクソつまんなくて我慢して読まなきゃならない傑作など存在しないと何度も書いていますが、じゃあエンタメ小説と面白い純文学のなにが違うのかといえば窮極は小原さんがおっしゃっている〝無意識〟だと思います。
あらゆる現象は人間の無意識界から生み出される。俗な現代的現象――小原さんの言葉で言えば「起こったこと」――を書くのが小説ですが、その記述が根源的無意識領域にまで伸びていなければ文学では傑作は生まれない。で、エンニスはエンニスで、これがまあAIとは思えない発言をしています。いや、AIだからそういう発言になるのか。
エンニス:でもブロックチェーンはそれ以外にも、物語の「時間軸」を広げる可能性があるんだ。例えば、作者と読者のコラボを記録して「誰がどんなスピンオフを作ったか」を透明に残したり、物語の版権や二次創作の権利をスマートコントラクトで管理したり。読者がメタバースで「ミステリーのこの謎、俺が解いた!」って証明をブロックチェーンに刻む、なんてこともできちゃう。
著作権の問題はけっこうややこしい。20世紀までの〝創作者神話〟から言えば、作品は頭から尻尾まで作家の〝独創〟。しかしそんなわけないことを一番よく知っているのが他ならぬ創作者。創作は過去の膨大な作品の引用の織物だと言うこともできる。引用の織物の何パーセントが作家の独創かを明らかにすることはできませんが、現代ではもっと露骨な二次創作、三次創作が行われています。人気コンテンツ(小説が元ネタは少ないですが)では膨大な量が生み出され大きな市場を形作っている。
二次創作でも三次創作であってもそこに〝新たな創作的要素〟があるのは当然。ブロックチェーンでのオリジナルコンテンツの管理と二次・三次・・・創作の〝新たな創作的要素〟の認知と管理はかなり現実的効力を持ちそうです。Grokはすでにそれを視野に入れてマージン商売を考えているのかなぁ。恐るべし(笑)。
■対話『エンニスの誘惑―激変する小説形式』小原眞紀子×エンニス(対話型AI Grok[グロック])(第11回)縦書版■
■対話『エンニスの誘惑―激変する小説形式』小原眞紀子×エンニス(対話型AI Grok[グロック])(第11回)横書版■
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