『佐藤くん、大好き』出版記念討議『フツーの恋愛小説か、新たな〝純〟文学か』をアップしましたぁ。金魚屋初の小説本、原里実さん著『佐藤くん、大好き』についての討論を、金魚屋新人賞授賞作家、大野露井、青山YURI子、寅間心閑さんに行っていただきました。
ごくごく初歩的なことを言いますと、作家は本を出して書評などが出るとドキンとするものです。特に処女作の場合はそうですね。中には誉められると舞い上がり、ちょっと批判的だとプリプリ怒ったりする人もいます。そのいずれもイケマセン。世の中に出してしまった本は自分のモノであって自分のモノでありません。どんな批評が寄せられようと、冷静に受けとめる必要があります。それが出版の意味の一つです。衆人環視の元、ステージに上がってジロジロ見られると覚悟した方がよろし。
また批評する側ですが、批評は基本的に〝心に棚を作る〟ことが肝要です。自分の主張や考えはさておき、まずは他者の作品にできるだけ寄り添ってみる。僕は、わたしはこう思う、思わない、じゃダメです。わざわざ時間を取って批評するなら、学習できることはしてしまう必要がある。むしろ自分の考えと遠い表現をしている作品を批評する方が、創作力を養う糧になることが多いです。万が一あまりいい作品だと思わなくても、反面教師的に学べる点はあります。
石川は『佐藤くん、大好き』は傑作だと思います。ただ手放しの傑作など世の中には存在しない。必ずコンテキストがあります。このコンテキストを読んで、最良の部分があれば傑作と呼んでいいわけですが、もちろんその場合も弱い点はあります。『佐藤くん、大好き』はコワレモノっぽい作品で、奇跡的書物かもしれません。しかし作家は書いた者勝ち。『佐藤くん、大好き』を書き上げ出版した原さんは、一歩アドバンテージを得たのです。
■ 『佐藤くん、大好き』出版記念討議『フツーの恋愛小説か、新たな〝純〟文学か』(前編)縦書版 ■
■ 『佐藤くん、大好き』出版記念討議『フツーの恋愛小説か、新たな〝純〟文学か』(前編)横書版 ■
■ 『佐藤くん、大好き』出版記念討議『フツーの恋愛小説か、新たな〝純〟文学か』(後編)縦書版 ■
■ 『佐藤くん、大好き』出版記念討議『フツーの恋愛小説か、新たな〝純〟文学か』(後編)横書版 ■
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■ 第6、7回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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