岡野隆さんの詩誌時評『句誌』『角川俳句 2020年09月~12月号』をアップしましたぁ。角川俳句賞を受賞した岩田奎さんを取り上げておられます。ほんで岡野さんとしては珍しく絶賛というか、大きな期待を抱いておられます。若干22歳の新鋭で、明らかに今の俳句とは質の違う作品を書いている作家だから当然か。注目していきたい俳人です。
俳句は国民文学であり、誰もが気楽に詠むことができます。本気になった人がプロと呼ばれるようになるわけですが、俳句はもの凄く裾野の広いジャンルです。たいていのプロ俳人はいわゆるレッスンプロです。結社などで俳句初心者を指導するのがメインのお仕事になります。なぜ文学でレッスンプロが成立するかといえば、俳句には規則、約束事があるからです。これがえらく縛りがキツイ。この枠組みを教えるのがプロということになる。
ただ俳句の世界で自分の俳句がオリジナリティがあり、後世まで唯一無二の作品として読み継がれると信じていられる作家はかなり幸福というか、脳天気であります。俳句の世界の現実は死屍累々。誰かが死ねば誰かが似たような句を詠む。またそれを無理矢理破ろうとして極端な試みを為せば、必ずと言っていいほど失敗する。俳句くらい難しい文学はない。
文学金魚ではずっと句誌時評を掲載しているわけですが、読めばわかるように俳壇政治的な意図はまったくありません。俳句は特殊な世界で特殊な文学と言えるわけですが、それはなぜかを明らかにするのがメインの目的だと言っていいでしょうね。この俳句の特殊性に居直れば、かなりの俳人が陥っているように、俳句が日本文学を代表するすんばらしい文学ということになる。ただそれは俳句事大主義であり、何ものももたらさない。文学金魚の俳句時評の目的は俳句の相対化であり、それを正確に為せば、日本文学の特徴が非常にクリアになると考えています。
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『角川俳句』恩田侑布子「終焉のむつの花」(2020年09月号) ■
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『角川俳句』川名大「戦後の三橋鷹女」(2020年10月号) ■
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『角川俳句』岩田奎「赤い夢」(2020年11月号) ■
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『角川俳句』岩田奎「穴」/恩田侑布子「不可能の恋、その成就」(2020年12月号) ■
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