萩野篤人 芸誌批評 No.004 伊良刹那「海を覗く」(新潮2024年11月号)、連載小説『春の墓標』(第09回)、連載評論『人生の梯子』(第06回)をアップしましたぁ。新潮新人賞の伊良刹那さんは受賞時高校2の17歲だそうです。前回萩野さんが取り上げた樋口六華さんも17歲でしたね。萩野さんは「伊良さんが打ち出したこの方向は、間違いなく日本語による文学表現の新しい可能性を開こうとしています。まだ土中に眠っているであろう種子を、大きく育ててほしいと思います」とエールを送っておられます。
でも石川、うーんなんだなぁ。文芸誌は禁じ手を全部使っちゃった感があります。芸能人やコメンテータに小説を書かせたりね。で、高2ですよ。地域や学校で話題になって一躍スターでしょうね。でも若くして才能が現れるスポーツより文芸の世界で生きのびてゆく方が遙かに難しい。ランボーやラディゲは神話的ですが結局書き続けられなかったじゃん。老婆心で勘違いして人生を誤らないようにしてくださいと思ってしまいます。新潮編集部は本当に手厚く末永く伊良さんを見守り活躍させていただきたい。責任重いです。
『人生の椅子』は〝成仏〟についてです。といっても宗教的な転生ではありません。そんなものは存在しない。萩野さんは「じぶんをまるごと受け容れ「これでいいのだ」と思えるとき、「ほんとう」であることと「あるがまま」であることとは、同じ次元にあるだろう。この次元にある者が、自身に対して「こころから」ほんとうだと言えるか、と誰かに問われたら、かれは自らがどうであるかを判別して「そうだ」と答えるだろう。そこに一点の曇りでもあるなら、かれはいつまでも〝成仏〟できないだろう」と書いておられる。
できればそんな認識にまで辿り着きたいものです。ただ人生は残酷で『春の墓標』のような辛くしかしどこかユーモラスでもある試練が次々襲いかかるわけです。
■萩野篤人 萩野篤人 文芸誌批評 No.004 伊良刹那「海を覗く」(新潮2024年11月号)■
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