佐藤知恵子 大衆文芸誌時評『小説新潮 2022年01~03月号』をアップしましたぁ。島本理生さんの「骨までばらばら」、結城真一郎さん「三角奸計」、松嶋智佐さん「署長官舎」を取り上げておられます。いずれも特徴のある良い小説ですね。
石川が見ていても、大衆作家としてデビューするのは運が必要だと思います。渾身の傑作が新人賞を受賞することもありますが、あれ、この程度の作品でと思うこともあります。金魚屋と違ってたいていの文芸誌は必ず新人賞を出しますから、その時々の応募作品のレベルによってはまあまあの作品でも新人賞受賞になります。
ただ問題は新人賞を受賞してから。大衆作家はとにかく書かなければなりません。作品を量産しなければならないんですね。多くの新人は新人賞受賞を目標としていますが、それは通過点に過ぎないということです。新人賞を受賞した後の方が大変。書かなければ生き残れません。作品を量産できる力の方が一作傑作を書くより遙かに大事。
つまり「書かなきゃ続けられない」。書けばいいってもんじゃない、とお考えの新人作家さんもいらっしゃるでしょうが、現実に即せばそれは大きな勘違いで誤りです。とにかく書かなきゃ何も始まらないのが現実。乱暴なことを言えば、駄作でもなんでもとにかく書く。んで色んなダメ出しされそれに耐えてとにかく作品を発表できるレベルまで持っていって軌道修正する。どんな作家もそれ以外に道を切り開く方法はありません。
■No.013 佐藤知恵子 文芸誌時評-島本理生「骨までばらばら」(小説新潮 2022年01月号)■
■No.014 佐藤知恵子 文芸誌時評-結城真一郎「三角奸計」(小説新潮 2022年02月号)■
■No.015 佐藤知恵子 文芸誌時評-松嶋智佐「署長官舎」(小説新潮 2022年03月号)■
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