連載翻訳小説 e.e.カミングズ著/星隆弘訳『伽藍』(第16回)をアップしましたぁ。『第四章 新入り』です。夏目漱石がどこかで『国家なんて信用できない。儀礼はうるさいほど求めるくせに、実際にやってることは欺瞞、ごまかし、恫喝だ。だから一般の国民は、国家なんて信用しないで、人と人との付き合いを大事にすればよいのだ』と書いておりました。
カミングズはスパイ容疑で拘束されたわけですが、読んでいてわかるように屈しないですね。また実際、自分の体験を小説にして世に問うた。彼には強い精神力に裏付けられた発信力があったわけです。また戦争を社会的側面から描かなかった。抒情詩人として知られますが、彼は意外なほど骨太です。
石川は物書きさんの理想の姿は仕事をすることだと思います。会社やお店で働いている人と同様に、仕事として文学に携わることです。有名になって印税で優雅に暮らしたいというのは本質的に物書きの欲望ではない。どこまでいってもエゴにまみれた文学というものを、なんとかエゴを薄めて社会性あるレベルに引き上げるのに必要なのが、継続的な仕事です。この継続的な仕事は別に依頼がなければできないわけではない。文学者は基本的に、自分で仕事を作る人種です。石川はそういったインディペンデントな労働者のような文学者の中から、優れた作家が現れるのではないかと期待しています。
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第四章 新入り』(第16回)縦書版 ■
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第四章 新入り』(第16回)横書版 ■
■ 青山YURI子 連載小説『コラージュの国』(第10回)縦書版 ■
■ 青山YURI子 連載小説『コラージュの国』(第10回)横書版 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■