ラモーナ・ツァラヌさんの『青い目で観る日本伝統芸能』『No.014 伝統と現代の狭間に―『日本の伝統芸能×ストリートダンス Part 2』』をアップしましたぁ。東京文化発信プロジェクト主宰の『東京発・伝統WA感動』を取り上げておられます。『東京発・伝統WA感動』は、日本の伝統芸能の国内外への発信を目的とするイベントだそうです。全11プログラムが上演されましたが、ラモーナさんは2014年9月27日の公演を取り上げておられます。第1部は『ストリートダンス×歌舞伎』で第2部は木ノ下歌舞伎さんによる『三番叟』(さんばそう)です。
『ストリートダンス×歌舞伎』はストリートダンスと日本舞踊を融合させる試みですが、ラモーナさんは、『融合が見事にいったとは言いがたい。(中略)ダンサー達の洋服には和柄があって、ヴィジュアル的には確かに「和」の雰囲気が生み出されたのだが、ダンスの面では、日本舞踊的な動きは「異化」された形を取った。まるで日本の伝統芸能の様式が一回海外で再構成されてから、再び日本で発表されたような違和を感じさせた』と書いておられます。
まあそうでしょうね。大半の日本の子供たちは、20歳くらいまでまるで自分がヨーロッパ人かアメリカ人のやうな気分で生きています(爆)。そこから〝日本人になる〟人はなりますし、一生中途半端な日本人で終わる人も多い。エンタメ要素の強い歌舞伎を楽しむことはできても、お能を理解できる日本人は少ないのです。どこの国でも似たようなものでしょうが、ある国(共同体)固有の文化は、たいていの場合、人々の心の底に〝死に体〟で眠っています。それを呼び起こしてやらなければ、国家・宗教・民族固有の文化は理解できないわけです。
第2部の木ノ下歌舞伎さんの『三番叟』(さんばそう)はお能の『翁』の舞です。これを一種の演劇として上演したとは驚きです。ラモーナさんは『木ノ下歌舞伎のパフォーマンスには、古文書の優れた現代語訳のような「トランスレーション」プロセスが確認できた。古い文章の現代語訳に取り組む時は、翻訳によって原文の魅力をできるだけ忠実に伝えることを目指すと同時に、解きがたい謎を含む文章なら、その謎を訳者の主観で暴くことを避けなければならない。(中略)木ノ下歌舞伎の『三番叟』は表現の形だけを変えて、この伝統的な演目元来の謎と、めでたい雰囲気をそのままに観客に伝えていた』と高く評価しておられます。
木下歌舞伎さんは、不肖・石川はラモーナさんのコンテンツで初めて知ったのですが、ある意味、最も現代的なアングラ劇団かもしれません。アングラ、つまりアヴァンギャルドであります。ラモーナさんは、木下歌舞伎さんの『東海道四谷怪談―通し上演―』も劇評で取り上げておられます。こちらの方も併せてお読みいただければと思います。
■ ラモーナ・ツァラヌ 『青い目で観る日本伝統芸能』『No.014 伝統と現代の狭間に―『日本の伝統芸能×ストリートダンス Part 2』』 ■