大篠夏彦さんの文芸誌時評『文芸5誌』『文學界 2021年04、05、06月号』をアップしましたぁ。今回大篠さんは、大衆小説と純文学小説の違いをミカンとオレンジに喩えて説明しておられます。で、純文学の定義の方が遙かに難しい。
芥川賞の方が注目されがちだが、小説界の中心は直木賞である。直木賞は原則として流行大衆作家の新人賞である。で、直木賞は絶対矛盾の中にあるから注目が集まりにくい。たくさんの読者を持つ大衆作家は特に直木賞という権威を必要としていないからだ。受賞しても数ある勲章の一つだ。そんなものはなくてもやっていける。じゃあこういった方法で芥川賞=純文学の新人賞を説明できるのかというと、これが難しい。芥川賞は大衆文学の反措定というのが実態だろう。
大篠夏彦
あんましにもストレートに大衆小説と純文学の違いとその問題点について書いておられるので、石川、思わず笑ってしまいました。もち大篠さんの批評が全部当たっているとは言いません。しかしある点では現実的問題の核心を突いている。
大篠さんは文学の「現実制度を一人の作家の力で壊すのは難しい、というか不可能だろう。しかしそれをより良い形に変えてゆくことはできる。そのためには〝現実制度がどういうものなのか〟を知らなければならない」と書いておられます。皆様の参考にしてください。
■ 大篠夏彦『文芸五誌』『三木三奈「実る春」』(文學界2021年04月号) ■
■ 大篠夏彦『文芸五誌』『青野暦「穀雨のころ」』(文學界2021年05月号) ■
■ 大篠夏彦『文芸五誌』『杉本裕孝「ピンク」』(文學界2021年06月号) ■
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