No.010【対話 日本の詩の原理】『戦後思想からポストモダニズム思想へ―吉本隆明篇』(三 全四回)池上晴之×鶴山裕司×萩野篤人 をアップしましたぁ。吉本隆明篇も佳境に入ってきました。今回は『戦後詩史論』から『マス・イメージ論』『ハイ・イメージ論』についてです。1980年代後半から本格的にポストモダニズム思想全盛になりますが吉本さんはそんな変化に的確に対応しています。
鶴山さんが以前『戦後文学とは腹が減ったということだ。肉体的にも思想的にもね』と言ったことがありますが、確かに1950年代から60年代にかけての知的好奇心の盛り上がりは凄まじかった。前衛文学も次々に生まれた。文学と社会の結びつきも強かった。ただ今では古びた言い方ですが〝飽食の時代〟になるとどうなったか。典型的なのは吉本さんの〝修辞的現在〟の定義です。
1980年代後半になると、多くの戦後思想家がポストモダン社会に対応できずにどんどん脱落していきました。しかしほとんど吉本さん一人がそこにアップデートできた。その理由は彼が文学批評から出発しながら人間の精神活動全般に対する強い興味を抱いていたからです。文学に即しても決して詩や小説という特定ジャンルに固執せず綜合的視点を持っていました。不思議なことに文学が斜陽産業になるにつれ、今の文学の世界はそれに逆行している気配があります。吉本さんに学ぶものは多いです。
なお出席者のお一人である池上さんの著作『ザ・バンド 来たるべきロック』が出版されます。文学金魚連載の評論中心にまとめた本です。予約販売中ですので是非。
■No.010【対話 日本の詩の原理】『戦後思想からポストモダニズム思想へ―吉本隆明篇』(三 全四回)池上晴之×鶴山裕司×萩野篤人 縦書版■
■No.010【対話 日本の詩の原理】『戦後思想からポストモダニズム思想へ―吉本隆明篇』(三 全四回)池上晴之×鶴山裕司×萩野篤人 横書版■
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