星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第04回)をアップしましたぁ。第一帖「桐壺」は重要です。後ろ盾のない皇子は臣下となって源姓を賜り光源氏と呼ばれます。美男子だから光です。でも皇子には違いない。そこで左大臣家が娘の葵を許婚にします。光源氏の生涯に渡る宿敵、右大臣家との対立が生じたわけです。正妻・葵上との結婚が政略結婚だったのも重要ですね。
ちょいと脇道に逸れますが平安時代の平均寿命は短かった。40代は長寿な方でそろそろ死を意識しなくてはならなくなる。女性はすぐに出家してしまいますがこれは髪を長く伸ばしていたせいでもありますね。白髪が交じる年齢になるとそろそろ出家ということになる。藤原俊成のように90歲まで生きた方もいますが寿命が短く乳幼児死亡率も高い時代でした。
で、星さんの翻訳は丁寧で的確です。『源氏物語』を抄訳(英訳)した元本の末松謙澄さんも『源氏』の内容をよく理解していたことがわかります。テキストの内容理解が優れていなければ優れた翻訳にならない。星さんは末松さんタイプかな。日本語テキストの英訳も高いレベルでこなせそうな気配です。
■星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第04回)縦書版■
■星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第04回)横書版■
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