池上晴之 連載評論『いつの日か、ロックはザ・バンドのものとなるだろう』(第05回)をアップしましたぁ。ザ・バンドを詳細に読み解いておられます。ザ・バンドの音楽は「アメリカーナ」と呼ばれるようなりますが、建国の歴史が浅く、ネイティブ・アメリカンの音楽ではなく移民の白人・黒人の音楽が入り混じっているわけですからなかなか大変です。カントリーやブルースがアメリカーナと呼ばれるロックの中心なのはわかりやすいですが、ジャズ、クラッシック、南米音楽etc.も入り混じっていますね。
「幻想のアメリカ」ということで言えば、松本隆は、アルバム『HAPPY END』の録音で初めてアメリカに行った時に、音楽の中のアメリカは現実のアメリカのどこにも存在しないのだと気づいたとどこかで言っていた。『源氏物語』を英訳したアーサー・ウェイリーも、「自分は日本には行ったことがないが、自分にとっての日本は『源氏物語』の中にしかない」というようなことを書いていたが、それが芸術の本質でもあるだろう。
池上晴之『いつの日か、ロックはザ・バンドのものとなるだろう』
ザ・バンドの音楽は確かにアメリカ独自のルーツを感じさせるところがあります。でもメイン・ソングライターのロビー・ロバートソンはカナダ人。代表曲の一つオールド・ディキシー・ダウンは作詞作曲ロビー・ロバートソンで題材はアメリカ南北戦争。カナダ人が約100年前の南北戦争を経験した青年の曲を書いているわけで、アメリカーナは「幻想のアメリカ」で「それが芸術の本質」なのかもしれません。
■池上晴之 連載評論『いつの日か、ロックはザ・バンドのものとなるだろう』(第05回)縦書版■
■池上晴之 連載評論『いつの日か、ロックはザ・バンドのものとなるだろう』(第05回)横書版■
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