No.003【連載対話 日本の詩の原理】『戦後詩の創出―鮎川信夫篇(下編)』池上晴之×鶴山裕司 をアップしましたぁ。短歌俳句を含めて詩は一筋縄ではいかない表現ジャンルです。特に自由詩はそうです。内容・形式面で一切の制約がない。つまり詩の成立要件は詩人ごとに異なる。
もちろん戦後詩風とか現代詩風、あるいはモダニズム、シュルレアリスム風と言えるような書き方はあります。徒手空拳では表現は成り立たないので、詩人たちも何らかの形で先行する詩作品(詩の遺産)を参照・模倣して独自の表現を模索しています。
しかし〝詩的〟と〝詩〟の間には大きな飛躍があります。「青い/青い」、あるいは「愛しています/あなたを」でも詩的表現になり得ます。ただ〝詩的表現〟が即座に〝詩〟に飛躍してくれるわけではありません。短歌俳句は型の伝統文学ですから型があれば詩だと思われがちですが原理は同じです。つまり〝詩的〟表現ではなく〝詩〟を生み出す作家が詩人です。本質的にはそれがアマチュアとプロ詩人の違いです。
石川が見ているところでは、〝自分の詩は詩的レベルに留まっているのではないか〟という不安を抱えている詩人がとても多いように思われます。要するに詩から作家の〝詩であるという確信〟が伝わって来ない。もちろん詩の成立要件は詩人ごとに違いますから〝詩であるという確信〟も詩人ごとに違います。
ただ一つ言えるのは、そのような確信には詩人の〝思想〟が必要だということです。思想と言っても小難しい哲学ではありません。詩人ごとの揺るぎない表現の核のようなものです。
池上晴之―鶴山裕司さんの対話にあるように、鮎川信夫は戦後詩の創始者です。そして新たな文学を生み出した作家は常に偉大です。その後数十年に渡って、広い意味でのエピゴーネンが創始者が切り拓いた表現を追随し模倣するわけですから。では鮎川さんは何によって戦後詩の創始者であり優れた詩人であったのか。今回の対話でほぼ語られていると思います。
■No.003【連載対話 日本の詩の原理】『戦後詩の創出―鮎川信夫篇(下編)』池上晴之×鶴山裕司 縦書版■
■No.003【連載対話 日本の詩の原理】『戦後詩の創出―鮎川信夫篇(下編)』池上晴之×鶴山裕司 横書版■
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