松原和音 連載小説『学生だった』第10回をアップしましたぁ。卒業編の続きです。大学はちょっと長いモラトリアムという面があります。それを通過して誰もが大人になってゆくわけですが、大人になるってのはどーゆーことだろうと考えさせられる時期でもあります。
文学を含む芸術は、いわば豊かな社会の上澄みだと石川は考えています。もち例外はあって貧しい社会でも芸術家は生まれますが、ほとんどの場合、社会全体の豊かさが芸術の振興に繋がっています。では芸術家を目指す人たちはどういう人種なのか。
芸術家、よほど実家が太くなければ生活で苦労する浮世離れした人たちです。そういう意味では社会人になって、基本、自分ではあんましやりたくない仕事をして生活している社会人から見ればガキです。よく主婦の労働を時給で換算する人がいますが石川首を傾げます。自分と家族のための労働はお金にならないんじゃないかな。人のために、まあ時にはイヤイヤであっても仕事するからお金をもらえるわけです。
芸術家は自分の自我意識や表現欲求を満たすための仕事ですから、当然普通はお金になりません。世の中にはたくさん芸術家がいるじゃないかとおっしゃるでしょうが、芸術家志望の人たちの数パーセントに過ぎないです。ほとんどの芸術家はそれでは食えない。
では芸術家は大人になりきれない未熟者かと言えば、そうとも言えない。どこかの時点で芸術を〝仕事〟にした人が、少なくとも芸術家となり芸術家として生活してゆける〝可能性〟を得ます。芸術を仕事にするのが社会人としての社会性をもたらすわけです。つまりアマチュアではダメ。たとえ食えなくても芸術を〝労働〟する必要がある。物書きさんにとってはまず書くことですね。ムダかもしれませんがとにかく書く。それ以外、物書き業を労働にする道はありません。
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