ラモーナ ツァラヌ『能の「花」と生け花が出会った『半蔀』』(演劇金魚 No.022)をアップしましたぁ。『半蔀』は『源氏物語』第四帖「夕顔」を題材にしたお能です。光源氏は〝あやにく〟(一筋縄ではいかない)な性格で、前(さき)の東宮の妃である高貴な六条御息所の元に通うのですが、その途中であまり位の高くない夕顔の元に沈没してしまうのですね。夕顔が〝あなたさまはあの有名な光源氏様ですが、実際に見るとそれほどいい男ではありませんね〟といった意味の和歌を送ったのがきっかけでした。
光源氏の一夫多妻制を身勝手なプレイボーイなどと現代の文脈でうんぬんするのはまったく意味がありません。なにせ著者は紫式部で女性なんですからね。光源氏さん、女性の愛し方をとてもよくわかっています。身分が高いだけ、キレイなだけではダメなんです。光の女性の好みは夕顔や末摘花によく現れています。
今回ラモーナさんが取り上げておられる『半蔀』は、通常の演出を少し変えて新鮮味を出した小書(こがき)の演出で上演されました。能の歴史は長いので、一つの演目の上演方法は自ずと決まってゆきましたが、新し味を出すために演出方法を変えた上演が小書なのです。
夕顔という女性はその名の通り、夕方に咲いてすぐ萎んでしまう儚い花(女性)です。この花のイメージを大胆に取り入れたのが小書の演出による『半蔀』です。能最大の醍醐味である〝幽玄〟の境地からいえば小書の『半蔀』の方が能らしいかもしれませんね。
■ラモーナ ツァラヌ 『能の「花」と生け花が出会った『半蔀』』(演劇金魚 No.022)■
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