寅間心閑さんの連載小説『オトコは遅々として』(第13回)をアップしましたぁ。この小説の主調低音になっているのは『どうして人を殺しちゃいけないか』という問いかけですね。なかなか難しい問題です。いわゆる殺人事件だけではなく、堕胎もまた一種の殺人と捉えることができます。アメリカで定期的にabortionが問題になっていますよね。
確か漱石先生が、殺人を犯した人が、その動機などを含む自己の心理を赤裸々にすべて描き出すことができたら、それは優れた文学になるだろうといった意味のことを書いていました。理論としてはその通りなのですが、そんなに簡単ではありません。中心は空白。それがほとんどの事件の本質と言いますか構造です。
逆に言いますと、ある事件を中心にした小説を書く場合、どのように空白を意識してうまく活用するのかがポイントになります。事件は起こってしまうと取り返しがつかない。ほぼ不可抗力で起こってしまうのが〝事件〟だからです。その結果は少なくとも犯人(事件を起こした人)にとっては決定的でなければなりません。必然的に事件(空白)の回りをぐるぐる巡ることになる。『オトコは遅々として』は〝遅々として〟ですからぐるぐるしてますね。さて、どういう落とし所を見出せるのか楽しみです。
■ 寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第13回) 縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第13回) 横書版 ■
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