松原和音さんの連載小説『一月のレモネード』第9回をアップしましたぁ。思春期小説と言えるわけですが、もちろん振り返って再構成された小説です。ただ10代後半の女の子の心理がよく表現されています。
私はがっかりしていた。私のペラペラな感情に共感なんかしてほしくなかったから。それに、あれは誰かに読ませるために書いたわけではない。考えるのをやめたかったから適当なことを書いただけ。内心感じていることを表面から見えないようにガードしているのに、わかってもらえないと空しい気持ちになる。
松原和音『一月のレモネード』
こういった記述は『ああいいねぇー』と思います。これをずーっと抉ってゆくのが思春期小説の醍醐味だと思います。石川、松原さんの小説を実は数編読んでいますが、この作家の醍醐味は思春期の空白的心理にあるように思います。すでに一つの純文学ジャンルを形成しているテーマではありますが、用心深くて無鉄砲な少女の行動を導いているのはある種の空白感です。それがよくわかる。この空白を埋めるのは何か、というのが最終的な作家のテーマの落とし所になるでしょうね。
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』第9回 縦書版 ■
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』第9回 横書版 ■
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