佐藤知恵子さんの大衆文芸誌時評、降田天「英雄の鏡」(小説すばる 2021年07月号)、江國香織「ひとりでカサカサさしてゆく」(小説新潮 2021年07月号)をアップしましたぁ。久しぶりの文芸誌時評です。大衆小説誌の時評を継続的に行っているのは文学金魚くらいでしょうね。
大衆小説というのは文壇的な区分で、いわゆる流行小説と言ってもいいかと思います。対極にはもちろん純文学がある。流行小説との区分で言えば、純文学は、言っちゃ悪いですが売れない小説ということにもなります。ほんで悪気はないと思いますが、売れる小説を書く作家、特に女性作家は日本の文壇では自動的に大衆作家、直木賞作家に区分されるようなところがあります。
でもま、大衆小説と純文学はキチンと定義されたことがない。なーんとなくの区分に過ぎません。また日本の明治維新以降の近・現代小説に限っても、名作と呼ばれる作品でおっそろしくつまんない、読んでてこりゃ座禅の修行ですか、といった小説は皆無だと言っていい。つまり名作がつまんなくて売れない純文学だとは絶対に言えない。漱石にしてもハラハラドキドキストーリーを追うことができる。
こういった不文律ですが、制度的に確立されてしまった小説の区分をちゃんと考えて、それぞれのジャンル(小説内のですが)を定義したほうがよかんべ、といふのが文学金魚の考えです。今のままの純文学の定義では純文学は廃れてゆくばかりです。大衆文学だって決して安泰ではない。小説、物語の力を少しでも取り戻すにはどうしたらいいのかを、作家だけでなく批評家もちったぁ真面目に考えた方がええと思うわけだす。
■ 佐藤知恵子 大衆文芸誌時評 降田天「英雄の鏡」(小説すばる 2021年07月号) ■
■ 佐藤知恵子 大衆文芸誌時評 江國香織「ひとりでカサカサさしてゆく」(小説新潮 2021年07月号) ■
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