『りょんさんのときどき集中連載』『世相をわらう22―国ってなにさ。』をアップしましたぁ。安倍首相の国葬の是非について書いておられます。調査結果では反対意見が多いようですが行われるようです。これについての背景分析ですね。
最近、言われてるのは、「国民主権っていうのは、どんな場合にも行使できるものじゃなくて、国民自身の利益が迫害された場合のみ守られるべきもの」なんだって。
確かにさ、多数決で決まったことが常に妥当とは限らない。たとえば多数決で決まったことが他の少数派の人権を脅かすことであれば、それは主権者である国民の権利を犯すことになるわけだから、そんなのは通らないって。
そしたら今回の国葬は、国民感情とか、そういうものは別として、国としては、つまり政府としてはだね、やった方が国益になるって判断なわけだね。国葬をすることで我々一人ひとりの権利や利益が脅かされるってわけじゃないわけだから、それについては国に任しとくしかないっちゅうことだろうね。
りょん
今回の国葬は、国民投票を行えば否決されるかもしれません。しかし政府が決定したので行われる。国民主権と政府決定は対立することがあるということになります。
これは日米安保条約締結などでも繰り返されてきたことです。国民感情としては反対意見が多い(かもしれない)状況で政府決定が為されて来たわけです。民主主義を多数決だとすれば国民主権の原則がないがしろにされたということになりますし、しかし議会制民主主義のシステムから言えば、りょんさんが書いておられるように「国民主権っていうのは、どんな場合にも行使できるものじゃなくて、国民自身の利益が迫害された場合のみ守られるべきもの」であり、それ以外の問題については時の政府に決定権がある、という解釈になります。
議会制民主主義は間接的国民主権システムですからこういった事態は起こり得ることです。アメリカ大統領選挙は国民が直接選ぶ選挙ですが、システムとしては国民投票を受けて各州の議員が大統領を選びます。この人は絶対ダメという場合は議会が否決することができるシステムが(発動されたことはありませんが)いちおうはあります。
ポピュリズム勢力が社会を覆うような状況になれば、国民投票は危ういシステムになるのでそれを阻止するための安全弁が議会制民主主義と言えないこともない。一方で議会制民主主義(間接的国民主権)は政府の専横を許す可能性を秘めています。議会制民主主義が最良の政治システムではないのは当然ですが、国民主権という名の独裁も危うい。根本的に考えてみるべき問題ですね。
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