高嶋秋穂さんの詩誌時評『歌誌』『角川短歌 2021年06月号』「第五十五回釈迢空賞発表「俵万智『未来のサイズ』」」をアップしましたぁ。高嶋さんは俵万智さんの短歌に対して、ずーっと首をかしげていたようなところがありますが、ようやく焦点が合ってきた感じがしますね。石川、むふふと笑ってしまひました(笑)。
俵さんは言うまでもなく口語短歌の火付け役ですが、その後の短歌界の大流は、穂村弘さんを実質的な頂点とするニューウエーブ短歌の方に進んでいったと言っていいと思います。俵さんはいわば御本尊として、まあそのナイーブな短歌の読み口もあって、手つかずといいますか、腫れ物に触るように大事にされてきたような雰囲気があります。
俳句や短歌という短い表現の世界では、ある新しいトレンドが生まれると、まあ皆さんそこに右倣えしてしまう傾向があります。しかし付け焼き刃は必ず剥がれる。剥がれないのは俵さんと穂村さんだけ、ととりあえず言うことができます。もちろんそれに背を向けた水原紫苑さんらの意欲的歌人もいらっしゃる。馬場あき子さんらの重鎮もまだまだお元気です。
こういった言い方は乱暴にお感じになるかと思いますが、大局で見ていると確実にそう写る。歌人俳人は歌壇俳壇に閉じがちです。そこが世界だと思い込んでしまう。自己を、自己が含まれる表現世界を外から見ようとする姿勢はとても大事です。詩の世界では一世紀、100年に数人しか優れた作家が出ないのは概ね事実。そんな作家になりたいのなら牛後に付かないことですね。
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『角川短歌』第五十五回釈迢空賞発表「俵万智『未来のサイズ』」(2021年06月号) ■
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