遠藤徹さんの連載マンガ『キノコの森』(第19回)・『えくすぽえめんたる』(第05回)&連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第05回)をアップしましたぁ。『キノコの森』と『えくすぽえめんたる』は、実はそうとうな量のデータをお預かりしております。たぶんですが、今も増え続けていると思います。んー遠藤さんつくづく恐るべし。
『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』は主人公がVR探偵になったきっかけの章です。中島敦『山月記』がきっかけに設定されています。言うまでもなく漢文体で書かれた傑作小説として知られています。で、主人公はこの小説世界を実体験として体験する。『それらの漢語の連なりはあまりにも意味不明だった。幼い心が破壊されそうな苦悩にさらされて、わたしは眠りながら悲鳴をあげ、VR装置を解除してくれるように母に頼んだ。だが答えはなかった。わたしはうめき、悪夢のような消化不良の言語の群に攻撃されて泣き叫んだ。(中略)何とかそこから逃れようとした。だが、言語の群は容赦なく浴びせかけられ、私の意識は崩壊の危機に瀕した。すべてをあきらめてわたしがぐったりとなった瞬間だった。わたしは自分がすうっと楽になるのを感じた。不意に目の前に山が見えた。山の地面だった。わたしは虎になっていた。虎になって野山を駆け回っていた』とあります。
これは面白い記述です。読書とイメージの関係をよく表していますね。いっけんムダだらけのような『山月記』は、その漢語の蕩尽のムダによって読者に強い印象を与えています。またそのゴツゴツとした漢語がイメージを固定し膨らませてもゆく。『虚構探偵』は小説のVR化をフィクショナルな軸にしていますが、映像(イメージ)もまた言語に基づいています。特に日本語の場合、漢字・漢語、ひらがな、外来カタカナでイメージが変わってきますね。
■ 遠藤徹 新連載マンガ『えくすぽえめんたる』(第05回) ■
■ 遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第05回)縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第05回)横書版 ■
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