高嶋秋穂さんの詩誌時評『歌誌』『角川短歌 2021年05月号』をアップしましたぁ。坂井修一さんの「連載 かなしみの歌びとだち」を取り上げておられます。スウィフトの『ガリバー旅行記』を枕にというか題材にしたエッセイです。こんなところにも歌人の特徴が出ますね。
石川は歌誌、句誌、詩誌を斜め読みしますが歌誌が一番面白い。単純に視野が広いからです。読み物として面白い。いろんな題材を使ってそれを短歌に結びつけている。そういったことが短歌ではできますし、歌人は歌はそういう文脈で捉えられることをわかっています。句誌、詩誌ではそんな視野の広さはあまりないですねぇ。
句誌でエッセイなどの題材を拡げようとすると、芭蕉の足跡をたどるとかそういう方向になってしまう。俳句から抜け出せないんですね。詩誌ではたいてい外国文学を持ってくるか、まぁはっきり言って、書き手もちゃんと理解していないポスト・モダニズム哲学なんかを振り回して終わる。乱暴な言い方ですが確実にそういう傾向はあります。
何度も何度も何度も書いていますが、詩人は歌壇・俳壇・詩壇という〝壇〟にとらわれがちです。そこを世界と思い込み、その世界の中で目立つことばかりにやっきになる。しかしそういった同行者と肩を並べて張り合ってもどんぐりの背比べになるのはわかりきったことです。
詩の世界の〝壇〟から抜け出して一般読書界でも活躍している作家は、多かれ少なかれ自分が属するホームグラウンドの〝壇〟を相対化しています。なぜそうなのか、どうしたらそうなるのかをもっと考えた方がいいです。もち狭い詩〝壇〟で御職を張れればそれでいいというなら別に言うことはありませんが。
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『角川短歌』坂井修一「連載 かなしみの歌びとだち」(2021年02月号) ■
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