鶴山裕司さんの『No.123 特別展 ポンペイ』展をアップしましたぁ。ヴェスヴィオ山の大噴火でポンペイが火砕流の下に埋まったのは西暦79年ですから、今から約2千年前といふことになります。で、18世紀から発掘が始まってどんどんその全貌が明らかになってきた。発掘はまだ続いているようで、今回の展覧会はその最新成果のお披露目でもあります。
鶴山さんは「西暦七九年は日本では弥生時代で、プリミティブな土器を作ってほとんどの人は竪穴式住居で暮らしていた。海を隔てたお隣の中国は後漢時代で素晴らしい文化が華開いていたから、中国人がポンペイ展を見れば「なーにうちだって」と思うかもしれない。しかし日本人が見ると「やっぱローマ文明はすごいなー、それに比べてウチは・・・」と思ってしまうだろう」と書いておられますが、まったくその通りですね。西暦1世紀のローマ文明はすんごいものでした。
ただ「ギリシャ・ローマ神話は多神教で一神教キリスト教世界とはぜんぜん違う。西側ヨーロッパ世界にとってギリシャはその文化的母胎だが東方異教世界なのだ。単純化して言えばポリフォニックな声とモノフォニックな声の違いである。杓子定規に言えば複数の神々の声がある(聞こえる)世界と唯一の神の声しかない世界の違いである」(鶴山)のも確かです。そのあたりのことを物から理解できるのが美術展のいいところです。
■ 鶴山裕司『美術展時評』『No.123 特別展 ポンペイ』展 ■
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