寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『四十三、口つぐみゲーム』をアップしましたぁ。何人かが問題を把握していて、それを遠巻きにしていることってありますよね。今回の『助平ども』がそんな感じです。三すくみとか四すくみの状態になっております。でも何もしていないわけではないわけでして。
人間は関係性の動物ですからいろんなところから情報を仕入れる。仕入れた情報はいろんな角度から検討される。意識的に行われる場合もあるし、無意識的に分析している場合もある。もちろん情報から関係性の中に潜む無意識の人の意識の流れを読み取ろうとする場合もある。それが小説という人間の関係性によって形作られる言語芸術になっているわけです。
小説は作家が一から十まで作り上げるので、基本的には心理学で言うような無意識領域はありません。ただ作家が登場人物たちの無意識を含めた意識を把握して物語を動かしていると、ちょっとしたところに〝作品の無意識〟といったものが出ることがあります。ほんの些細な外界描写とか接続詞とかの使い方ですね。それが小説を決定的な方向に導いていることがあるのです。
そういった小説的無意識が、読者の意識にのぼらない形で、スリップするように刷り込まれている作品は秀作、傑作が多いです。上手い小説で物語展開もハッキリしているのに何かモヤモヤとしたものを感じる、何かが背後で動いているような感じがする時は、小説の無意識が地の文を含めて読者の無意識層に働きかけている場合が多いのですね。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『四十三、口つぐみゲーム』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『四十三、口つぐみゲーム』横書版 ■
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