小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『箱』(第23回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連作詩篇です。今回は『箱』です。
箱はずれながら
闇を深めて
軸を挟んで
回転する
君の心変わりを
咎めはしない
わかっていたこと
そうあるべきこと
画期的な箱開けも
定期的に起こる
世界は厳重に
梱包されており
外箱から
内箱へ
サイズを変えた
君の心が
横たわっている
(小原眞紀子『箱』)
箱は何かを入れるためにあるわけですが、何かを入れたら開けなければなりません。次々に変化は起こるわけですが、箱が箱であることは変わりません。この箱の状態、箱に閉じ込められ定期的に開かれる心の在り方を、変えるべきか変えざるべきかは難問ですね。
現代詩華やかなりし頃、詩は一球入魂といった顔つきをしていました。もうだいぶ前にユリイカという雑誌が『現代詩の実験』という別冊を出していましたが、全盛期は本当に素晴らしかった。ある一定期間にたまたま集めた詩作品が素晴らしい詩のアンソロジー集になるなんて、一九七〇年代にしか起こらないことだったのが今ではハッキリしています。
今の時代、詩の書き方も発表方法も変えざる得ない、変わらざるを得ない時代です。もう一球入魂の時代ではない。現代詩の時代ではないと言ってもいいですね。小原さんの書き方はサラリとしていますが連作で量産です。こういった書き方にも今の詩の変化が表れています。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『箱』(第23回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『箱』(第23回)横書版 ■
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