片島麦子さんの連載小説『ふうらり、ゆれる』(第06回)をアップしましたぁ。第3章で古羊さんは30代から40代になりました。早いっ、ネコみたいに年を取るのが早い(笑)。でももちろんそれがこの小説最大の魅力を作り出しています。天上から眺めるような視線ですね。
『ふうらり、ゆれる』は日本が舞台で小説の環境や小道具も日本ドメスティックなのですが、非常に良質のヨーロッパ小説を読んでいるような感じです。作家の視線の高さのせいでしょうね。フロベールの短編に近い味わいです。ちょっと変な言い方かもしれませんが、日本の小説は完全にヨーロッパ文学の骨格を我が物としたんですねぇ。
内容は一人の女性の生涯を描いていますが、特にバタバタとした事件は起こりません。そういう意味では地味な小説ではありますが、心に食い込んでくる。
人間、自分一人の人生しか生きられません。だから物語、つまり小説や映画やドラマで他人の人生を知り、それを自分の財産とする。いかに精神に食い込んでくるのかが物語の善し悪しを決めます。自分に近い環境の人が出て来るとか、ビックリするような事件が起きるからと言って精神に食い込むとは限りません。
『ふうらり、ゆれる』は主人公の古羊さんとはぜんぜん違う人生を歩んでいても、女性ではなく男性であっても、精神に食い込んでくる何かがある物語です。この作品、石川の個人的感想ではありますがかなり傑作です。
■ 片島麦子 連載小説『ふうらり、ゆれる』(第06回)縦書版 ■
■ 片島麦子 連載小説『ふうらり、ゆれる』(第06回)横書版 ■
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