金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の、小原眞紀子さんの連載小説『No.006 本格的な女たち』をアップしましたぁ。同窓会サスペンス小説です。アメリカでは『デスパレートな妻たち』といった中年女性を主人公にしたドラマがヒットしました。小原さんの『本格的な女たち』も主要キャストは中年女性たちであり、若い男女の恋愛モノとはひと味もふた味も違うテイストになっています。その上サスペンス小説です。
石川は編集後記でしばしば文学ジャンルについて書いています。詩、小説、短歌、俳句、戯曲、評論は文学ジャンルを形成しています。そして身も蓋もないことを言えば、本当の意味で文学ジャンルを超えられた作家はほとんどいない。詩人は見よう見まねで小説を書き、小説家はなんとなく詩らしい作品を書いている場合が多い。だからジャンルを超える試みは長続きしない。結局はいつの間にかホームグラウンドのジャンルに引っ込んでしまうわけです。なぜそうなるかと言えば、〝詩とはなにか〟あるいは〝小説とはなにか〟を原理的に考えていないからです。
もちろん作家は理論を得てから創作を行うわけではありません。ただ詩人も小説家も長い時間をかけた試行錯誤によって〝詩とはなにか〟〝小説とはなにか〟を体得しています。他ジャンルの表現に手をつける時に、そのジャンルの本質を考えず、手持ちの言語テクニックだけでそれらしいものを作ろうとしても失敗するということです。
小原さんの小説は読めばわかるように完全に小説です。詩人的な詩的小説の要素はほとんどない。なぜそれが可能なのかと言えば、〝小説とはなにか〟を原理的に掴んでいるからです。それは『文学とセクシュアリティ』をお読みになればはっきりわかります。『文学とセクシュアリティ』は、詩人が詩的に『源氏物語』を読み解いた評論集ではありません。詩人であることを棚上げして、『源氏』読解によって小説文学の本質を明らかにした理論書です。小原さんは詩人ですから『源氏』に仮託して詩について語る必要はないわけです。
■ 小原眞紀子 連載小説『No.006 本格的な女たち』縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『No.006 本格的な女たち』横書版 ■
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