大篠夏彦さんの文芸誌時評『文芸5誌』『文學界 2017年09月、10月号』をアップしましたぁ。『古市憲寿「平成くん、さようなら」(09月号)』、『石田千「鳥居」(10月号)』を取り上げておられます。古市憲寿さんの「平成くん、さようなら」の評価が高いですね。石川も読みましたがいい小説だと思います。
もしゲーム世代というものを想定できるとすれば、現代的知性はかなりゲーム的になっていると思います。受験戦争をクリアして就職、金儲けetc.をクリアしてゆくわけです。そこにはノウハウがあります。もちろん優秀でなければノウハウを使いこなせないわけですが、ノウハウを知っているトップレベルの知性集団の中では、それは当たり前のものとして存在しています。つまり現代的知性はかなりの程度まで情報で構築されていることになります。
比喩的に言えば、現代ではそれほど優秀でない若者はゲームの一面をクリアしただけで何事か大きな事を成し遂げたように感じる。閉じた世界での自己評価の高さは破滅への第一歩だ。ツイッターでの「いいね」集めなども同様である。本当に優秀な若者は次々にゲームソフトをクリアしていって、さて、次はどうしようかと考える。真摯な者は真剣に悩む。ただエリートたちは与えられたゲームのクリアに熱中できるという意味で、社会システムや年長者に意外に従順でもある。不平は敗者の側に澱のように溜まるがそれが社会を大きく動かすことはない。勝者は空しさを抱えながら現状に満足せざるを得ない。新しい質かもしれないが、現代的知性を十全に活かせないのは若者も同じだ。
(大篠夏彦)
古市憲寿さんの「平成くん、さようなら」には、大篠さんが書いておられる「さて、次はどうしようかと考える」知性が表現されていると思います。〝次〟はどうなるんでしょうね。まだ本当に次を表現する文学者は現れていませんが、じょじょに問題の焦点が明らかになってきていると思います。
■ 大篠夏彦 文芸誌時評『文芸5誌』『No.131 古市憲寿「平成くん、さようなら」(文學界 2018年09月号)』■
■ 大篠夏彦 文芸誌時評『文芸5誌』『No.132 石田千「鳥居」(文學界 2018年10月号)』■
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