連載翻訳小説 e.e.カミングズ著/星隆弘訳『伽藍』(第25回)をアップしましたぁ。『第四章 新入り』の続きです。カミングズさん、収容所の人たちを動物園の動物のように描写してますね。かなり辛辣です。抒情詩人として知られますが、カミングズという人は批評意識の強い作家だったのです。
アメリカ人作家、特に20世紀初頭のモダニズム系の作家たちは、かなりヤンキー気質の人が多いです。ま、ヨーロッパに憧れながらコンプレックスを抱き、新たなアメリカ文学を作りだそうとしたわけですから当然ですね。あえて野蛮人を装っている所があります。
詩人というのはどこの国でも同じような人種が多いようで、20世紀初頭でも茫漠と詩的なフレーズを口ずさみ、詩人らしい格好をして詩人らしい振る舞いをする人が多かった。エズラ・パウンドはABC of Readingの冒頭の方で、そういったエセ詩人たちを糞味噌に批判しております。詩的と詩は違うということです。詩を書くのは作家の仕事ですから、一種の労働者になる。でなければ詩人という肩書きは無意味。そういったプラグマティズムがアメリカの詩人たちにはあります。
カミングズは決して多作ではありませんでしたが、生涯真摯に仕事をした人です。優しいだけの人じゃないですね。カミングズ作品を読んで『いいな~』と感じる人は多いでしょうが、一歩踏み込むとかなり厳しい顔をしたカミングズ像が見えてきます。
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第四章 新入り』(第25回)縦書版 ■
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』『第四章 新入り』(第25回)横書版 ■
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