遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第17回 (六)象の背中(フェスティナ・レンテ)(三)』をアップしましたぁ。遠藤さんは様々な小説の書き方ができる作家です。この小説に関しては、あらかじめ落とし所を決めて書いていると言っていいでしょうね。しかもそれを完全なオチではなく、含みを持たせる形で設定しておられる、と予想されます。種山先生のペダンチックなおしゃべりが続く小説ですが、それが可能なのはオチがしっかり決まっていて、余裕があるからです。
単純ですが、主人公一条さやかの一人称一視点の語り口にもブレがありません。よく読まなくてもおわかりでしょうが、さやかの語り口も種山先生と同じ質の駄弁に近い。なぜ駄弁的な語り口になるかと言えば、一人の人間の視線から見た世界だけを描くと、小説に膨らみがなくなるからです。さやかの駄弁はこの小説に必要不可欠な描写を含んでいます。わたしはこう思う、こう感じたという描写だけではこの小説はもたない。
設定の完璧さ、語り口の高いテクニック、小説を書く皆さんには学ぶべき点が多い作品です。それに別のテーマを設定すれば、遠藤さんの語り口はガラリと変わる。作家が小説で何を言いたいのか、表現したいのかといった〝意味〟にばかりとらわれている批評家気質の人たちは、遠藤さんという多彩な作家の本質を理解できないでしょうね。でもだいじょうぶ。文学金魚は遠藤さんという作家の優秀さを十分理解しています。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第17回 (六)象の背中(フェスティナ・レンテ)(三)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第17回 (六)象の背中(フェスティナ・レンテ)(三)』横書版 ■
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