ドイナ・チェルニカ著、ラモーナ・ツァラヌ訳、No.020『少女と銀狐』第27-28章をアップしました。『第28章 ヒナゲシのあとをつける』『第29章 雨に迫られて』です。今月01日にはラモーナさんをインタビュアーとした、『ドイナ・チェルニカ インタビュー『ルーマニア文化と『少女と銀狐』』』もアップしています。こちらもぜひお読みください。
都会の子であっても、たいていの人は子ども時代に大人が行っちゃダメと止めるような場所を好みます。人間の世界とは違う原理で動いている世界ですね。虫やミミズなどをじっと観察して、彼らが何をしようとしているのか知ろうとする。結局わからないわけですが、わけのわからないものたちといるのが、なぜか心地いい。子どもは大人から見れば、わけのわからない世界に半分属しているからだとも言えます(笑)。
でも大人になるとそういう場所から離れる。むしろ嫌います。森の中などは、得体の知れない怪しい場所になってしまう。それは人間理性から言えば正しいでしょうね。森の中で行われているのは残酷な弱肉強食です。生まれて生きて、他の動植物に食べられることまでが森の中の生き物の役割です。そこに秩序はあるのか。あるといえばありますし、ないといえばない。そこから意味を導き出すのは人間だけですから、すべての人間的思考は森の混沌の中から生まれてくるとも言えます。
『少女と銀狐』という小説は、森の混沌に対して正直な作品だと思います。この小説の特徴は一種独特の残酷さにあるでしょうね。もちろん極端なスプラッターなどはありません。でも根っこの方に冷たい残酷さがある。この残酷さがもしかすると愛に近づくための、一番正しい道筋なのかもしれません。
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳 No.020『少女と銀狐』第27-28章 縦書版 ■
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳 No.020『少女と銀狐』第27-28章 横書版 ■
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