鶴山裕司さんの連載エセー『言葉と骨董』『第054回 尾崎谷斎の煙管筒』(上中下編)をアップしましたぁ。尾崎谷斎(こくさい)は幕末明治の根付師で幇間(たいこもち)、そして明治時代最大の流行作家、尾崎紅葉のお父さんです。紅葉は父谷斎についてほとんど書き残していません。自分の墓も谷斎とは別に建てた。谷斎の息子であることを隠したかった可能性大です。
今回のエッセイはもちろん谷斎の煙管筒を元に書かれていますが、実質的な尾崎紅葉論45枚です。鶴山さん、作家としてマジ全盛期に入ったな。たいていの題材についてかなりの短期間で書ける。
幇間はお座敷で客と芸妓の宴席を盛り上げるだけが仕事ではない。幇間や三味線持ちなどの男衆は遊郭・料理屋には欠かせない灰色の存在だった。客と技芸との間を密かに取り持ち、その逆に見番や遊郭の密偵となって技芸を監視し、客同士や客と技芸のトラブルを丸く収める役回りでもあった。灰色のトラブルシューターであり時にあくどい役回りも担った。紅葉が父谷斎を恥じたのはそのような幇間の仕事をよく知っていたからだろう。一方で幇間は西洋宮廷のピエロのような存在でもあった。現在かなりの数の谷斎作品が残っているのは、彼が裕福なお大尽の客筋をつかんでいたからである。
(鶴山裕司『尾崎谷斎の煙管筒』)
別に歴史小説を書くために骨董遊びをしていたわけぢゃないんでしょうが、骨董から得た知識がいろんなところに活かされています。幇間についての叙述、正確です。次回、またしても石川はクリスマス的な骨董について書いてくださいと依頼しているので、何が出て来るのかとっても楽しみです。
■ 鶴山裕司 連載エセー『言葉と骨董』『第054回 尾崎谷斎の煙管筒』(上編) ■
■ 鶴山裕司 連載エセー『言葉と骨董』『第054回 尾崎谷斎の煙管筒』(中編) ■
■ 鶴山裕司 連載エセー『言葉と骨董』『第054回 尾崎谷斎の煙管筒』(下編) ■
■ 第6、7回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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