池田浩さんの文芸誌時評『No.023 三田文学 2017冬季号』をアップしましたぁ。保坂和志さんの特集を取り上げておられます。池田さんは『なぜ保坂和志なんだろう、と考える。慶應出身じゃないのに。慶應出身でないと、特集を組んではいけないというわけではない。たとえば夏目漱石特集ならいいと思う。夏目漱石は慶應出身ではない(もちろん)が、慶應出身者にあまねく影響を与えたからだ。森鷗外の特集でもいいと思う。森鷗外も慶應出身ではない(もちろん)が、慶應出身者にあまねく影響を与えたからである』と書いておられます。
保坂さんは、石川の読後感では、ちょっと変な言い方ですが、サブカル系の前衛作家といふ感じです。ライトノベル的で知的なんですが、ん~現代にアップデートできてるかなぁ。一昔前はマンガやアニメはサブカルと呼ばれていましたが、今では日本を代表する立派なカルチャーです。それは従来はメインカルチャーと言われていた文学などに比肩できるほど、マンガやアニメの質量が向上したためです。相対的に文学の質が落ちたという言い方はできると思いますが、今後は文学がサブカル化するわけではありません。マンガ・アニメの影響は必然的に受けるでしょうが、文学とそれらが完全に融合することはない。むしろそれぞれの根本的本質が問われることになると思います。
池田さんは『自覚がなければ商業文芸誌のズレたパロディのようになり、自覚があれば品のよい大学雑誌になるしかない。しかしそのどちらも今さらということなら、オルタナティブな方途を探るしかあるまい。それは骨が折れるというよりは、よほどの特殊なセンスを要することのように思える』と批評しておられます。
ちょいと前に斎藤都さんに『No.001 大学文芸誌について』の総論を書き直してもらいましたが、そこで斎藤さんは『世の中は情報化時代である。今まで曖昧な位置付けだった大学文芸誌の編集方針も、だんだんと白日の下にさらされるようになる。〝身内〟と〝公器〟の区分を誰の目にもわかるようにするのも一つの方法かもしれない。そうすれば、少なくとも大学文芸誌が本当はわかっていて、だけど誰も言い出せなかったモヤモヤが霧散するだろう』と書いておられます。大学文芸誌の編集、意外と難しいです。
■ 池田浩 文芸誌時評 『No.023 三田文学 2017冬季号』 ■
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