高島秋穂さんの『BOOKレビュー・詩書』『No.026 死者たちを詠うということ―福島泰樹歌集『哀悼』』をアップしましたぁ。『哀悼』は今月01にインタビューをアップした福島泰樹さんの最新歌集です。もう29冊目になるんですね。驚異的歌集刊行ペースです。
歌壇や俳壇は結社中心ということもあり作家の視線が内向きになりがちです。(中略)しかし詩人は常に一般社会に目を向けて創作活動を行う必要があります。読者が詩に何を求めているのかを感受し続けるのです。そうすれば短歌や俳句や自由詩がなぜ現在のような形で存続しているのかがわかってきます。狭い○○壇以外に読者がいることがせせこましい人間関係や政治力とは関わりのない本当の作家の実力です。〝最初になぜ詩に魅了されたのか〟を思い起こせば誰でも詩の原点に立ち戻れるはずです。
詩壇以外に読者を求める方法は作家それぞれです。福島さんの場合は言うまでもなく同時代と同世代を詠い続けてきたことが多くの読者を惹き付けています。多作も重要です。飽くことなく書き続けられるのは表現基盤がしっかりしているからです。福島さんは前衛短歌運動の渦中から表れてきた歌人ですが馬場あき子さんらを除いて同世代の歌人たちが次々に表現の核を失ってゆくのに対してますます旺盛な創作活動を続けておられます。彼の作品のいくつかは今後も愛誦されてゆくでしょうね。
(高島秋穂)
文学金魚、淡々と優れた仕事をしてゆく作家の方、大好きです。閉ざされた歌壇、俳壇、詩壇内の評価より、コアな読者がいて、思う存分書いて発表して本にしてゆける方が、作家の理想像に近いのは言うまでもありません。
オレンジ色の夢であるなら花ならばあかく潰えて流れゆきにき
歌業とは眸に灼きつく映像をはがねに鍛え立て直すこと
さむければまなこ瞑ろう傘さそうポッケに摘んだ花もかくそう
わたくしがいない明日も花は降り電車は走っているのであろう
零さないように器をはこぶなら水は満たしてはならぬと思う
(福島泰樹『哀悼』より)
短歌の王道を踏まえた秀歌揃いです。さすがです。
■ 高島秋穂 『BOOKレビュー・詩書』『No.026 死者たちを詠うということ―福島泰樹歌集『哀悼』』 ■
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