山本俊則さんの美術展時評『No.059 日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展(前編)』をアップしましたぁ。カラヴァッジョもかなりめんどくさい対象です。ポスト・ルネサンス期の画家ですが、古典作家の一人です。カラヴァッジョの作品現存数は約60点に過ぎません。ボッティチェリの約100点よりもさらに少ない。また当時でも絵にサインを入れる習慣がなかったので、真贋鑑定がとても難しい。勢い学者さんが専門的に扱う画家になりがちです。でもそういった前提をかいくぐって批評エセーを書けなければ、プロとは言えませんよねぇ。
カラヴァッジョはローマで数々の問題を起こしたが、パトロンである貴族の力で窮地を脱している。さすがにトマッソーニ殺人事件では罪を免れ得ずローマを逃げ出したが、マルタ島やシチリアでも有力者の庇護を得て絵を描いた。それは宗教画を描く画家であっても、画家その人は聖人君子ではないという社会的了解があったことを示している。ラファエロが典型的だが、ダ・ヴィンチやミケランジェロといったルネサンス期の画家は、絶対権力を握る貴人に随従する芸術家たちだった。しかしカラヴァッジョは筆一つで世を渡ってゆける芸術家であり職人だった。その驕慢とも言える独立不羈の精神が、カラヴァッジョ作品を同時代の画家たちのそれよりも頭一つ抜け出したものにしている。
(山本俊則)
カラヴァッジョは伝記的興味をいたく刺激する作家で、その生涯を扱った映画にもなりました。絵を見ている限り、大人しい人で、時間をかけて仕事をした画家のように思えますが、明らかに違います。事故のようなものだったらしいですが、殺人事件を起こしてローマを追われています。また逃亡中も旺盛に仕事をしていますから、かなり早筆の画家でした。後編ではこの画家の神秘のベールが少しずつ解明されてゆきます。お楽しみにっ!。
■ 山本俊則 美術展時評『No.059 日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展(前編)』 ■
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