今日から三日連続で、二〇一六年六月十八日に、東京目黒の日仏芸術文化協会で行われた第1回文学金魚大学校セミナーのレジュメをお届けします。トップバッターは三浦俊彦さんと遠藤徹さんでお二人の小説作法についてお話していただきました。当初は対談形式でお話していただく予定だったのですが、お二人の小説作法がだいぶ違うといふことがわかったので、お一人ずつお話していだだきました。
ちょっと原理的といふか基本的なことを申しますと、文学金魚はWeb上の文芸誌ですから、イベントやインタビューなどを動画などで配信することもできます。しかしそれは今後もやりません。なぜかというと、登場していただく方の多くが作家だからです。つまり話し言葉と書き言葉は違うということを知っている人たちが、文学金魚のメイン著者です。
なるほど三浦さんも遠藤さんも、セミナーで聴衆の前に立ってお話されたわけですが、その話言葉をテープ起こしして、それに手を入れたものが作家のオフィシャル言語になる。動画で配信するとわかっていれば、作家は自ずから違うスタンスでその場に臨むはずです。またそうなると発言内容も抑えられる可能性がある。どんな場合でも社会的コードがあります。そのコードギリギリのところに迫るためにも、話し言葉は書き言葉として、作家自身によって認知される必要があります。
じゃあイベントやインタビューは文字だけ読めばいいのかと言えば、そうとも言えません。人間、30歳を超えたくらいからだんだん人と会わなくなります。『今度会おうよ』と電話やメールで言って、何年も会わないことは珍しくありません。友達ですらそうです。ましてや基本、個人的なつながりのない作家さんには、まず会う機会がありません。今回のイベントでも、あの場の出会いが一期一会になる方々は多いと思います。
生きて動いている作家を実際に見たのと見ないのでは、その後の印象がまったく違ってきます。石川は編集者ですからたくさんの作家の方にお会いしていますが、同時代人でも会ったことのない方は文学史上の作家です。でも短い時間でも会ってひと言でも話したたことのある方は、肉体感覚として作品を感受できます。不思議ですが確かなことです。「ああ、あれが三浦さんか、遠藤さんか」と思った記憶が、何年もたつと意外に重要なものになるのです。
■ 第1回 文学金魚大学校セミナー ①『わたしたちの小説作法』 三浦俊彦&遠藤徹 pdf版 ■
■ 第1回 文学金魚大学校セミナー ①『わたしたちの小説作法』 三浦俊彦&遠藤徹 テキスト版 ■
■ 第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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