ラモーナ・ツァラヌさんの荒木経惟論『往生から見た世界―荒木経惟写真展』をアップしましたぁ。東京・六本木のタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムで5月25日(月)から6月20日(土)まで開催されている荒木経惟さんの最新個展についてのコンテンツです。ラモーナさんが書いておられるように「今はあの世からこの世を見ている・・・向こう側の空のから見た世界は鏡写しである、というのが、氏の75歳誕生日に開かれた本個展のコンセプト」です。
こりは不肖・石川の感覚ですが、複写(現実の複写、ネガあるいはデジタル画素から印画紙への複写)芸術である写真の展覧会は単調になりがちなところがあります。同じ大きさのプリントがだーっと並んでいると、写真集でいいんじゃないのかなぁといふ気がちょいとしてしまふのですね。
荒木さんの場合、ときおり写真展で感じてしまふような単調さはぜんぜんありません。カラー、モノクロ写真を取り混ぜ、写真の大きさを変え、ネガを反転させたりプリントにドローイングしたりと、むしろ単調さを排除しようとなさっています。写真の内容もバリエーションに富んでいて、真面目になったり笑ってしまうような現実が写っています。
こういったサービス精神といふか、受け手(見る人)のことを考えたプレゼンテーションは必要だなぁとつくづく思います。作家は確信を持って作品を世に送り出さなければなりませんが、市場(世の中の趨勢)を読む能力も必要です。驚きや時には嫌悪など、荒木さんの写真にはそれを初めて見る人の視線を惹きつけ、自分の芸術世界に引き込んでゆくような優れた仕掛けがあります。
なお今回のコンテンツ掲載にあたってタカ・イシイギャラリー様に大変お世話になりました。お礼申し上げます。
■ ラモーナ・ツァラヌ 荒木経惟論 『往生から見た世界―荒木経惟写真展』 ■