田山了一さんのTVドラマ批評『No.076 太鼓持ちの達人』をアップしましたぁ。テレビ東京さんで月曜深夜に放送されているノウハウドラマです。世渡り下手の悩みを抱えるゲストが現れて〝ほめる技術シミュレーションゲーム・世渡りWARS〟に挑戦し、ゲーム指南役の大佐(手塚とおる)、分析官(柄本時生)、参謀(木南晴夏)がゲストをサポートします。「第1話 忙しぶる人・超体育系の男」、「第2話 ネガティブ女子・やさぐれデブ」といふタイトルからわかるやうに、テレ東さんらしひ実も蓋もなひ内容でごぢゃりまふ(爆)。
太鼓持ちのノウハウとは、田山さんが書いておられるやうに、「欠点やコンプレックスを補う褒め言葉ではなく、まさにそのコンプレックスを長所として逆転するような解釈」にあるでせうね。だから「反社会的なバカであった元ヤンは「純粋」という言葉に、注目されるためには手段を選ばない真性かまってちゃんは「放っておけない」という言葉に安堵し、心の居場所を得て昇天する」わけです。
このドラマで紹介されるノウハウは、世の中をスムーズに渡るためのプチヒントであり、他者を持ち上げることで利益を得ようとするいわゆる〝太鼓持ち〟技術ではありません。中立的なゲーム指南役がいることからもそれはわかります。私利私欲のために太鼓持ちをする人間って、実際にはすんごくイヤらしい感じがしちゃいますからね(爆)。
文学の世界でも太鼓持ち作家はいますねぇ。自分より少しでも有名で社会的影響力を持つ作家に取り入るのが、そういう作家のいわゆるステップアップになるやうです。太鼓持ち作家はあらゆる手管を使いますな。Aといふ弱小出版社に、それなりに有名なBといふ作家を紹介して、AとBが何か仕事をするときに、べったり貼り付いておこぼれにあずかろうとするわけです。黒子のフィクサー業に徹すれば嫌味ぢゃないんですが、自分が目立つためにフィクサー業をやるからたちが悪い。でも作家として力がないから太鼓持ち作家になっちゃうわけで、おこぼれを活かすことすらほとんどでけませんなぁ(爆)。
文学を巡る状況は確かに厳しいです。特に純文学の場合、それなりに有名作家でも作品発表や生活面で苦労を重ねることが多いです。でも活路を見出せるとしたら、やっぱり作品以外になひわけです。有名であろうと無名であろうと、どうしても書きたいことを抱えている作家は太鼓持ちなぞしている暇はないでせうね。
■ 田山了一 TVドラマ批評 『No.076 太鼓持ちの達人』 ■