田山了一さんのTVドラマ批評『No.064 深夜食堂3』をアップしましたぁ。原作は安倍夜郎さん原作のマンガで、ドラマでは小林薫さんが主演です。毎回実力派ゲスト俳優さんが登場します。俳優さんって、別に主役ぢゃなきゃイヤって方々ばかりぢゃないんですね。むしろ与えられた役をどう解釈して演じるのかに喜びを感じる方の方が多い。『深夜食堂』で演技する俳優さんたちは楽しいんぢゃないかなぁ。超人気俳優さんを使わないとドラマは地味な印象ですが、テレビ東京さんは俳優さんたちのやる気を呼び起こすドラマ・フレームを作るのが上手いです。もちろん演出も独特であります。
田山さんは、『「深夜食堂」は、そのタイトルから視聴者が期待する、食にまつわる、それゆえに偏っていてもかまわない深夜の物語、という文脈を外し、ありきたりの「ドラマ」をこれでもかと見せつける。完全な掟破りであり、ポストモダンを脱構築したらモダンに戻ってしまった、とでも言うべき顛末なのだ。・・・「深夜食堂」はさらに映画化もされるようで、ベタ人情もの恐るべし、と言うべきか。ますます目が離せない、あるいはもう観たくない、その二つの間を揺れ動き、心は千々に乱れるのである』と批評しておられます。確かにさうですね。『深夜食堂』は従来の食ドラマの文脈を踏まえているのですが、決定的にテイストが違います。
食は人間にとって最重要の行為であり、テレビ番組の三分の一くらいは食がらみの企画ぢゃないでせうか。映像メディアが食を題材にする場合、綺麗で豪華な〝美食〟レベルでいいのですが、文学ではやはり〝人の生死〟に関わるところまで描かれないと面白くない。絵で見せるメディアと人間心理描写を中心とするメディアの違いでもあるでせうね。もちろん戦争などの過酷な状況下を描くばかりが人の生死に関わる食ではありません。代表的なのは岡本かのこの『鮨』などでせうね。40枚弱の短篇なのですが傑作であります。
■ 田山了一 TVドラマ批評『No.064 深夜食堂3』 ■