寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第39回)をアップしましたぁ。家族は最小限の人間集団ですが、秘密やトラブルがいっぱいです。もちろん法律に引っかかるようなものではありません。しかし人間形成に多大な影響を与えるわけですから、事件と言っていい種類のものだと思います。
子どもは成長していくわけですが、最初はお父さんお母さん、祖父母同居だとそれプラスおじいさん、おばあさんしか知らない。世界が閉じているわけです。その中で、例外はあるにせよたいていの場合、甘やかされて育つ。初めて本格的に他者に触れるのが幼稚園ですね。それから小学校、中学、高校に進学するにつれ世界がグングン広がってゆく。それと同時に家族を軽視するようになります。外の世界の方が刺激的で魅力的になるんですね。
ただ早い人だと30代くらいから家族に囚われるようになる。家族回帰が始まります。これもたいていの場合ということですが、回帰といっても精神的なものです。自分のルーツ確認と同時に、人間形成の機微をある程度冷静に分析して理解できるようになるんですね。寅間さんの『オトコは遅々として』は家族小説でもあります。子どもが父母ら家族から受ける影響と同時に、父母が子どもたちから受ける影響も描かれています。静ですがスリリングな小説です。
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第39回)縦書版■
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第39回)横書版■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■