紫雲 連載小説『クローンスクール』(第09回)をアップしましたぁ。小説はなんでもありのジャンルに見えないことはないのですが、本質的には底堅い形式です。確かに前衛の季節はありまして、それは前時代の文学潮流が終わりかけの時に起こります。日本では戦後文学が滅びかけた1980年代に前衛文学が流行物のように書かれました。
ただ前衛は一種の革命であり、革命は基本一回限りです。一回の成功体験にこだわってそのまま行こうとすると命取りになりかねない。旧ソ連や中国で革命闘士が実質的な王になって社会を統治したように、文壇を牛耳るような立場に立てなければ前衛一本では難しい。小説は必ず物語に回忌してくるからです。
研究者が考えていることはワンパターンだ。有能な者を自分の手で造形することである。オリジナルを超えることはもちろん、この国が誇る一握りの天才にも引けを取らないような人材を輩出することだ。だからこそ教育の質に拘った。しかし体制が入れ替われば状況も一変する。この国の性だ。権力争いが落ち着く先は、旧体制下での方針の見直しである。国家百年の大計を転換させるような真似はしないものの、旧体制指導部の面々を葬り去るため、汚職での逮捕を皮切りにあらゆる手を尽くしていく。
紫雲『クローンスクール』
紫雲さんの『クローンスクール』は物語小説なのですが通常の小説とは質が違います。スクリーンの上の模様が動くようにズルリと物語りが動く。地面が物語によって複雑に隆起し地形を変えてゆくような小説です。状況は刻々変わるのです。次回が楽しみですぅ。
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