遠藤徹連載マンガ『えくすぽえめんたる』&連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第22回)をアップしましたぁ。『えくすぽえめんたる』は新しいタイプの四コママンガですね。マンガといっても引用的な写真(画像)に文字が配される。『キノコの森』とはまた違うんだなぁ。遠藤さんは同じことを繰り返しませんね。
「そう。そして、三四郎には、まだ将来が定まらないがゆえの楽天的な未来像がある」
「長男野々宮が代表する学問の世界、次男恭助が代表する政治や実業の世界、その両方を飛び越えようとする三男と四男のイメージなのかな」
「どっちにしようか迷ってて三と四に引き裂かれているのと同時に、三と四のペアとなって一と二との順位を覆そうともしているわけね」
「うん、そういう複雑な三四郎の立ち位置みたいのを、この名前が代弁しているともいえなくはないように思うんだよね」
「美禰子とよし子の間で引き裂かれ、野々宮と美禰子の関係性への疑いに動揺している落ち着きのなさとも関係ありそうね」
「まあ、ちょっとこじつけめいてるけどね。でも、こう考えることで、漱石が主人公に三四郎っていう奇妙な名前をつけた意味がはっきりするような気がするんだよな」
遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』
『三四郎』の名前を巡るこの批評的対話はその通りだと思います。小説では主人公の名前にテーマが反映されていることがあります。金魚屋刊行の小説でも松岡里奈さんの『スーパーヒーローズ』の主人公は二三(ふみ)で一(いち)を欠いていますから。意図的だとも小説的無意識だとも言えるのですが、優れた小説では主人公の名前に至るまで有機的整合性が取れていることが多いのです。
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第22回)縦書版■
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第22回)横書版■
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