鶴山裕司 美術展時評 No.131『古代メキシコ展』をアップしましたぁ。金魚屋から詩集『聖遠耳』、『おこりんぼうの王様』、評論集『正岡子規論―日本文学の原像』を好評発売中の鶴山さんの美術批評です。
鶴山さんの作家としての特徴は原理的ということに尽きるでしょうね。〝私の(理想の)漱石先生〟として一万通りくらいに読み解かれてきた漱石文学を、『夏目漱石論―現代文学の創出』では文体からズバッと一直線に読解しています。「漱石は本質的に文体構造の作家である」という定義には強い説得力があります。
『正岡子規論』も同様で、俳句はなぜ有季定型(575に季語)なのかを完全解明しています。面白いことに俳人さんたちからは完全無視されていますが、石川は俳句史上に残る画期的評論だと思います。ま、なぜ575なのか、なぜ季語なのかが完全解明されてしまうと、俳人さんたちは飯の食い上げになってしまうでしょうね(笑)。
詩集『聖遠耳』と『おこりんぼうの王様』は長篇詩と抒情詩集。2つの詩集を併せ読まないと鶴山さんの意図はわからないと思います。『おこりんぼう』は単なる抒情詩ではありません。引用の織物でありペルソナ詩集です。それは『聖遠耳』の意識の流れから生じている。
美術批評に戻ると「メソアメリカ文化はユーラシア文化にとってほぼまったくの他者、文字通りの異文化である。ほぼ完全な他者だからこそメソアメリカ文明は面白い。その探求と受容はユーラシア文化に慣れ親しんだ者にとって本質的な〝文化的新大陸発見〟になり得るものである」と書いておられます。知的探究心、大事です。
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