佐藤知恵子 大衆文芸誌時評『小説すばる』2021年12月~2022年02月号をアップしましたぁ。新川帆立さんの「動物裁判」、大橋祟行さんの「櫻花燈籠」、古矢永塔子さんの「ビターマーブルチョコレート」を取り上げておられます。
小説すばるさんは典型的なマラソンのペースメーカー的編集方針です。基本、売れっ子作家さんたちの連載中心。他の大衆文芸誌もそういう面はありますが、小説すばるさんはハッキリしています。雑誌の大半を連載が占め、著者の新刊絡みの特集やインタビューなどが掲載されています。昔ながらの、売れっ子作家に連載させてそれを本にしてゆくための雑誌の位置付けです。雑誌それぞれに編集方針があるんですね。
佐藤さんはその中で短編を批評で取り上げておられます。売れっ子作家の連載中心ですから、単発の短編小説は新人・中堅作家か、もしくはなかなか書いてくれない超売れっ子作家さんの小説ということになります。多くの場合、新人・中堅作家の小説を取り上げておられます。
作家は自営業、自由業なわけですが、一人の人間にとってそんなに世界は広くない。たとえば小説すばるさんが主な作品発表場になると、そこで連載を持つことが一大目標になります。もちろん作家の出世とはいろんな雑誌から依頼が来て断るほど忙しくなることですが、それでも世界が数誌の雑誌に増えただけとも言えます。
それが世の中ってもんだと言えばその通りなのですが、しばしば作家の表現と読者の間に雑誌の特徴が挟まってしまうことがあります。微妙に雑誌の編集方針におもねる、あるいは影響されてしまうことがあるんですね。それがヒドクなると読者が何を求めているのかわからなくなることもあります。雑誌の編集方針を相対化して捉えること、作家に必要な作業です。
■No.012 佐藤知恵子 文芸誌時評-新川帆立「動物裁判」(小説すばる 2021年12月号)■
■No.013 佐藤知恵子 文芸誌時評-大橋祟行「櫻花燈籠」(小説すばる 2022年01月号)■
■No.014 佐藤知恵子 文芸誌時評-古矢永塔子「ビターマーブルチョコレート」(小説すばる 2022年02月号)■
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