高嶋秋穂さんの詩誌時評『歌誌』『短歌研究 2021年04月号』をアップしましたぁ。短歌研究さん巻末の「うたう☆クラブ」の特集です。今現在活躍している数々の歌人を生み出した名物コーナーです。最初のコーチは穂村弘さんでした。高嶋さんは「それは偶然ではなく必然だったということです――もしくはそう捉えないと意義が見えなくなる」と書いておられます。その通りでしょうね。
ただしまあイヤなことをズバッと言ってしまいますと、短歌俳句自由詩という短い表現の文学では、作家はジャーナリズム小僧小娘になりやすい。若いうちは右見て左見て上見て下見て自分の立ち位置を探るのが当然ですが、いつまで経ってもウロウロあたりを見回して立ち位置だけで自分の力を確かめようとしたりするのがジャーナリズム小僧小娘です。
でも考えてみれば当たり前ですが、文学の世界に月単位年単位で変わるトレンドなぞあるわけがない。優れた作家が出てくるとその影響が数十年に渡って続く。その影響力の細かいさざ波をジャーナリズムは拡大再生産しているわけで、大局に立てば子規の時代があり白秋茂吉塚本穂村俵らの時代があったということになります。そこに自分の名前と作品が埋もれてしまうのはビックリ、と言っているようでは甘い。たいていの作家は埋もれる。じゃ、どうしたらいいのか。決定的に新たな仕事を生み出すことですね。
もちろん文学ジャーナリズムは必要です。新たなトレンドを紹介して次のトレンドを用意する役割がある。しかし作家が毎月毎年の成果とかにまどわされていたのでは、現代あるいは未来のトレンドを代表する作家にはなれない。月単位の原稿を書くことが仕事だと思っていては絶対にダメなのです。腰を据えた作家の仕事を見出してゆくのがジャーナリズムの本質的役割だと思います。
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』 「20周年記念特集 「うたう☆クラブ」は永遠に」(短歌研究 2021年04月号)■
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