鶴山裕司さんの連載エセー『言葉と骨董』『一峯斎馬円の節句幟』(第64回)をアップしましたぁ。金魚屋から『夏目漱石論-現代文学の創出』を好評発売中の鶴山さんの骨董エッセイです。もうすぐ子供の日ですがそれにふさわしい骨董です。
鶴山さんが書いておられますが、江戸時代の端午の節句(菖蒲の節句)――五月五日(旧暦)には幟旗(のぼりばた)を立てて飾る風習がありました。武士は家紋の入った幟を立てましたが、町人は龍虎や鯉の滝登り、鍾馗様などの幟旗を立てたのです。鯉幟が登場するのは江戸後期ですが江戸の鯉幟は紙製の物が多くて小さかった。また材質が紙ですから当時の鯉幟はほとんど残っていません。その代わりと言ってはなんですが、武士や町人が立てた布製の幟は比較的たくさん残っています。
今回は大坂で活動した一峯斎馬円(いっぽうさいばえん)という浮世絵師が描いた鍾馗様の幟旗です。マイナーな浮世絵師ですが浮世絵師直筆の絵は珍しい。鶴山さんは、まーどっからともなく見所のある骨董を見つけ出してくるんだなぁ。鶴山さんは本質的なところで既存の制度を壊してゆく作家です。骨董エッセイについても、コレクターの特権的審美眼といった20世紀的文脈はもう終わりでしょうね。
■ 鶴山裕司 連載エセー『言葉と骨董』『一峯斎馬円の節句幟』(第64回) ■
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