佐藤知恵子さんの文芸誌時評『大衆文芸誌』『オール讀物』の2連投です。『No.126 佐藤巖太郎「所払い」(オール讀物 2018年01月号)』、『No.127 真保裕一「こちら横浜市港湾局みなと振興課です」(オール讀物 2018年02月号)』を取り上げておられます。
いわゆる大衆文芸誌の世界には批評は存在しません。あるにはあるんですが、作家同士が対談したりゲストを呼んで対話しても、基本は当たり障りのない誉め言葉が並びます。これはある程度しかたがない。大衆文学は純文学に比べて遙かに本が売れている作家さんが多い。また映画やドラマの原作になることもしばしばです。これはこれで様々なコードを生んでゆくわけで、厳しい批評はしない、しても仕方がないという不文律があります。
確かにときおり大衆文学への批評が書かれることがありますが、それも気まぐれです。普段は純文学批評をしている評論家が、団鬼六さんや半村良さんの小説を取り上げてみせるということが多かったな。ある種のインテリのペダンティズムという面がありました。フラットに大衆文学作品を総覧してゆくような批評はほぼなかったわけです。
純文学誌には前号批評が掲載されていることがありますが、これも当たり障りがない。昔にくらべて批評家が編集部や作家に遠慮している気配が透けてみえます。雑誌批評は基本、編集部や作家を相対化していないと本音は書けないのです。雑誌批評、誌面批評というものは意外と難しいものです。また書き手の力が試される。佐藤知恵子さん、ズバッと書きますね。頼もしいです。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『大衆文芸誌』『No.126 佐藤巖太郎「所払い」(オール讀物 2018年01月号)』 ■
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『No.127 真保裕一「こちら横浜市港湾局みなと振興課です」(オール讀物 2018年02月号)』 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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